2019 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental study on a new photo dynamic immunotherapy of cancers based on the sentinel lymph nodes theory
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18J21091
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
章 逸汀 千葉大学, 大学院医学薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | センチネルリンパ節 / 免疫療法 / 光線力学療法 / ドラッグデリバリーシステム / 癌 / インドシアニングリーン / リポソーム化製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究計画を踏まえ以下を行った (1)光免疫療法検討のための腫瘍転移モデルマウス作成 (2)近赤外蛍光色素配合リポソーム(LP-ICG-C18)の一重項酸素発生と近赤外光照射時間検討 (1)はC3H/HeNマウス右側腹部リンパ管近傍皮下に同系のSCCVII腫瘍細胞を移植後、腫瘍直径10mm程度で右腋窩リンパ節を摘出。摘出リンパ節を酵素キット等で単細胞懸濁液化して再培養後Day15以降で腫瘍細胞が確認され、上記手法で再移植したところ腫瘍の再形成が認められた。高率転移細胞株獲得のため上記操作を繰り返し5代目細胞株まで取得した。一方転移リンパ節の組織解析も行なったがHE染色で扁平上皮性細胞の浸潤領域は確認できず、AE1/AE3抗体の免疫化学染色では一部集積箇所を認めた。並行で先行文献に倣いTGFb1領域を含めたプラスミドベクターの遺伝子導入によるSCCVII細胞株作成も行った。プラスミドはeGFP領域を含み、共焦点蛍光顕微鏡で経時観察を行ったところDay3で蛍光化細胞の発現が確認され、Day8までに60%confluence程度の増殖蛍光細胞が確認された。 (2)は照射面パワー密度が約30mW/cm2程度の近赤外光レーザー(808nm)を使用し、一重項酸素と会合することで吸光度が低減する1,3-ジフェニルイソベンゾフラン(DPBF)を用いた吸光光度法で検討を行った。照射時間を最大30minとしたところDPBFの吸光度(410nm付近)で最大90%程度の低下が見られ、一重項酸素の発生を確認した。また照射時間で対数関数的な吸光度低減を示し、10分以降で吸光度低減量の鈍化が見られた。LP-ICG-C18の吸光度(790nm付近)も同様な鈍化傾向であったことから一重項酸素発生量はLP-ICG-C18の残存量に依存することが考えられ、生体に対しても至適な照射時間が推察される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでにBCG-CWSのLP-ICG-C18内包化については目的粒子形成の確認とその試料形成条件及び性状評価を行ってきた。今年度は内包効率の向上のために油中水滴遠心沈降法によるベシクル化によってBCG-CWSの内包率向上を試みたが、BCG-CWSが遠心沈降上層液で分散しにくく不安定であり、ソニケーション等手法で比較的分散した状態で遠心沈降を進めた場合でもベシクル形成を確認できなかったため、遠心沈降による内包化が困難であると考えた。一方で、最新の文献で改良化されたBCG-CWSのリポソーム内包化手法がいくつか報告されていることから、再度実験方針を変え、現在それら文献手法を参考に引き続き内包効率向上化とその性状評価を進めている。 モデルマウス作成については当初本年度の計画で腫瘍転移モデルマウスが完成予定であったが、現状再培養・再移植で腫瘍の再形成は確認されているものの、摘出リンパ節ごとに培養段階で腫瘍細胞が確認できる場合とそうでない場合があり、またHE染色による病理組織観察ではマウスリンパ節での扁平上皮細胞特性を踏まえた浸潤領域評価が厳しかったため、転移モデルとして実験評価に用いるには不安定だと考えた。一方でTGFb1導入細胞株の作成もeGFPによる蛍光化細胞の増殖は確認されたが、セレクション操作の段階で最終的に死滅してしまった。死滅した要因としてはセレクション操作で用いた抗生物質(G418)の使用濃度と培地配合比率について試薬の添付文書に基づき実験を進めたものの、本研究で用いるSCCVII細胞のセレクションに適切な試薬濃度でないことが考えられる。このことを踏まえ、現在使用試薬を濃度別に作成し、G418に耐性を持つ遺伝子導入細胞株が生存し、正常細胞が死滅する抗生物質濃度を検証して再度トランスフェクションを行う。
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Strategy for Future Research Activity |
BCG-CWSの内包効率向上については引き続き最新の文献で報告されているような脂質材料と配合比率に基づいたBL-ICG-C18の作製を進め、これまで進めてきた手法での性状評価とセンチネルリンパ節としてのマウス腋窩リンパ節をターゲットにした生体内動態の解析を行う。また、腫瘍細胞の転移性を安定化させるため、引き続き再移植と再培養による転移形成を繰り返すとともに、TGFb1遺伝子を導入したSCCVII細胞株の作成を進め、抗生物質のセレクションで安定化した増殖細胞についてリアルタイムPCR法、及びウエスタンブロッティング法を用いた発現解析を行う。リンパ節転移能評価については、これまで行ってきたリンパ節組織の単細胞懸濁液化、再移植法による腫瘍形成による評価を行うとともに、HE染色での病理組織学的評価とは別に扁平上皮癌マーカーであるp40,p63,CK5/6,CK19抗体を用いた免疫組織染色の多角的な評価を行う。一方で光線力学療法由来の一重項酸素発生が生体内で炎症発生のメディエーターとして作用し、結果として免疫誘導作用に寄与することが報告されている。したがって、培養細胞を用いた一重項酸素発生と細胞障害性の評価を行うとともに、モデルマウスを用いたセンチネルリンパ節での各種炎症性サイトカイン発現や腫瘍特異免疫の発現についてBCG-CWSとLP-ICG-C18の相乗的な抗腫瘍効果を含めた免疫・組織学的な解析を行う。最終的には一連の研究内容をまとめ、論文投稿を行う予定である。
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