2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of solution to nutrition problem with intestinal bacteria
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18J21116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増岡 弘晃 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 低タンパク質適応 / 肥満 / パプアニューギニア / ラオス / 近代化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「低タンパク質適応」と腸内細菌叢の関係についての研究 2018年度は、「低タンパク質適応」の状態にあるパプアニューギニア高地人の腸内細菌叢を無菌マウスに移植する実験を実施した。これまでの研究では、1つの糞便サンプルで「低タンパク質適応」の再現性を確認済みであった。今年度は、その糞便サンプルとは異なる糞便サンプルを無菌マウスに移植し低タンパク食で飼育し、体重変化や筋肉量、血清バイオマーカーなどを比較し、新たな有用サンプルの探索を行った。その結果、「低タンパク質適応」を再現することができる数種の糞便サンプルを新たに見出すことができた。また、16S rRNA sequencing解析を行い、「低タンパク質適応」に寄与している可能性のある候補菌株を選出した。 2. 「肥満」と腸内細菌叢の関係についての研究 2018年度は、ラオス北部における、近代化の程度が異なる3つの村落において、現地調査および糞便サンプルのサンプリングを行った。2018年8月に行った調査では、最も近代的な生活を営む村落A、近代化が中程度である村落Bにてサンプリングを行った。2019年3月に行った調査では、村落Bに加えて、伝統的な生活が最も保存されている村落Cにてサンプリングを行った。これまでに、2018年8月採取サンプルに関しては16S rRNA sequencing 解析にて腸内細菌叢構成を解析し、ラオス人腸内細菌叢と日本人腸内細菌叢の比較、村落Aと村落Bの村落間比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究は、基礎データの蓄積という位置づけで考えており、2019年度以降にさらなる目標を達成するための新たな戦略を立てる上での貴重なヒントを得ることができたと考えている。 具体的には、パプアニューギニアの研究については新たに数サンプルで再現性の確認ができ、2019年度以降に行う予定である「低タンパク質適応」を担う細菌群の同定のために必要となる候補菌株などの有益なデータを得ることができたと考えている。ラオスの研究については対象地域がラオス山岳部にある近代化の程度が異なる3つの村落に決定し、各村落で十分なサンプル数の検体を集めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
パプアニューギニアの研究については、これまでに「低タンパク質適応」の再現が確認されているサンプルの中で最も「低タンパク質適応」能が高いサンプルを選出する。さらに、これらのサンプルに処理を施し、選択をかけたサンプルを無菌マウスに移植することで、候補菌株において「低タンパク質適応」を担う細菌を絞り込む予定である。 ラオスの研究については、2018年度のサンプリング調査で採取したサンプルの16S解析を引き続き行う。解析後、各村落での腸内細菌叢構成の違いを比較し、食事や身体データと腸内細菌叢構成の相関解析を行うことで、近代化による食事を始めとする生活の変化が細菌叢にどのような変化を与えるのかを確かめる。
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