2019 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージ再教育と抗体医薬ADCP活性増強を両立する画期的ナノキャリアの創製
Project/Area Number |
18J21249
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
李 昊 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | TAM / therapeutic antibodies / ADCP / resiquimod / liposomes |
Outline of Annual Research Achievements |
1. TAM細胞をM1型へ再教育し、ADCP効果を増強できるかどうかをIn vivoで検証した。A431担癌ヌードマウスにM1型マクロファージを誘導するLPS/IFNγを注射し、FACSで解析し、M1型になることが確認された。さらに抗EGFR抗体528をLPS/IFNγで処理したA431担癌ヌードマウスに注射し、ADCP効果は未処理より強くなったことから、TAMのM1型再教育によるADCP効果増強をIn vivoで確認できた。 2. R848がM1型マクロファージを誘導できるかどうかをIn vitroで検討した。R848で誘導させたマクロファージはM1型と同程度なADCP能であった。 3. R848のリポソーム封入法を検討し、バンガム法で直径約100 nmのR848内封リポソームを作成した。R848-LPで再教育したマクロファージのADCP効果がM1型と同程度に上昇することが確認された。 4. R848-LPのマウス体内分布、TAM特異的な取り込みを測定した。R848-LPは時間とともに、TAM細胞に蓄積されたことが判明した。組織切片の蛍光免疫染色を行った結果、R848-LPはTAM細胞に取り込まれることが観察された。 5. R848-LPのTAM再教育能、ADCP効果増強能をIn vivoで検討し、R848-LPと抗体医薬併用による腫瘍増殖抑制効果を検討した。R848-LP処理群はTAMのM1再教育ができたことが確認された。また、ADCP効果もR848-LPあるいはR848-LPと抗EGFR抗体処理群の方が抗体単独より上昇したことが確認された。さらに、R848-LP+抗EGFR抗体投与群は他の群と比べて腫瘍の増大が一番強く抑制されたことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍随伴マクロファージ(TAM)は抗体医薬による癌の免疫治療に極めて重要であり、治療標的として非常に重要な細胞と考えられている。本研究は基盤技術となる抗体医薬、DDS、小分子免疫賦活剤の融合的な挑戦であり、達成時に大きなインパクトがあると予想される。昨年度は、動物実験(In vivo)に関して集中的に取り組んでいた。具体的には、A431担癌マウスにおいて、TAM細胞をM1型へ再教育し、ADCP効果を増強できるかどうかの検討、R848-LPのマウス体内分布、TAM特異的な取り込みの測定、WiDr担癌マウスにおいて、R848-LPのTAM再教育能、ADCP効果増強能の検討、または、R848-LPと抗体医薬併用による腫瘍増殖抑制効果の検討を行った。結果としては、リポソームを使用したR848のTAMへの送達によって、TAM再教育および抗体医薬のADCP効果増強が実現され、腫瘍治療効果が改善したことを達成した。以上から、おおむね順調に進展していたと判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
グリオーマ・マクロファージ混在条件下でグリオーマを治療対象とし、①グリオーマTAMのM1細胞への再教育が可能で、②搭載抗体医薬のADCP活性を増強する新規DDSナノキャリアを創製する。また、③経鼻投与による脳室内投与の可能性も検討する。グリオーマ細胞をマウス脳内移植した後、TAM再教育R848-LPを経鼻投与し、実際のグリオーマ治療効果を検討する。この時、Luciferase導入グリオーマ細胞とin vivoイメージング装置を使用して、可能な限り非侵襲的なグリオーマ萎縮効果の評価を行う。
|