2018 Fiscal Year Annual Research Report
First-principles Study on Origins of the Giant Rashba Effect at Surfaces/Interfaces
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18J21257
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山口 直也 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ラシュバ効果 / 電気分極 / 局在長 / Wannier中心 / スピンテクスチャ / 電場 / 第一原理電子状態計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は主に巨大ラシュバ効果の発現機構について、電気分極及びラシュババンドに対する局在長、Wannier中心に着目して研究を行った。SrTiO3表面に歪を加えることで誘起される電気分極によってラシュバ効果の大きさを表すラシュバ係数が100 meV・Åを超える、すなわち、Au(111)表面のそれと同じオーダーの大きなラシュバ効果が現れることを明らかにした。また、巨大ラシュバ系であり典型的な系であるBi/Ag表面合金のビスマス原子-銀表面間距離を変化させることで変調された表面状態を解析することにより、ラシュバ係数と、ラシュババンドに対する局在長及びWannier中心との関係を見出した。これらの量はラシュバ係数の予測に有用である可能性がある。 また、バンドアンフォールディング法の計算コードをラシュバ効果のスピンテクスチャが解析できるように拡張したことで、結晶中に不純物や欠陥が存在する場合のスピンテクスチャの可視化が可能になった。さらに、擬原子基底線形結合法の枠組みでベリー位相の方法による電場印加の計算コードを開発し、周期系の絶縁体、半導体に対しても外部電場の印加を考慮した計算を行うことが可能になった。それによって一様電場下におけるラシュババンドの振る舞いを調べることが可能になった。既存のスピンテクスチャ計算プログラムのさらなる効率化を行い、数百原子程度を含む系におけるフェルミ円の探索及び精細なスピンテクスチャの描画が容易になった。 研究代表者は当該年度から新たに2件の実験グループとの共同研究に参画しており、現在2件とも論文投稿済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SrTiO3薄膜に歪を加えることで生じた電気分極によりラシュバ係数が100 meV・Åを超える、すなわち、貴金属表面(Au(111))のそれに匹敵するラシュバ効果が発現することを明らかにした。また、Bi/Ag表面合金系のラシュババンドに対する局在長及びWannier中心について、Bi原子-Ag表面間距離の依存性を調べ、実際に巨大なラシュバ効果が発現する要因について、両者が重要であることを明らかにした。以上のように、巨大なラシュバ効果を生じる系の探索のみならず、典型的な系でのラシュバ効果の発現因子の特定に至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はラシュババンドに対する局在長及びWannier中心がラシュバ係数の予測に有用かどうかを調べるために、様々な系に対して網羅的な計算を行い、まずは比較的小さなバルクラシュバ系から計算を実施する予定である。また、一様電場下におけるラシュババンドを計算することを通して、ラシュバ効果の電場による制御可能性について調べる予定である。
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Research Products
(16 results)