2019 Fiscal Year Annual Research Report
機能未知の喘息関連遺伝子HAS2による喘息難治化メカニズムの解明
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18J21289
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
SHERPA MINGMA 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | HAS2 / 喘息 / リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はHAS2及びその合成産物である高分子量ヒアルロン酸の機能異常が気道リモデリング形成に及ぼす影響を、HAS2ヘテロ欠損(HAS2+/-)マウスを使用し解明することを目的とする。具体的にはBalbc系に8世代以上戻し交配したHAS2+/-群および野生型(WT)群を併用し、卵白アルブミン(OVA)の長期暴露により慢性好酸球性気道炎症による気道リモデリング病態作成後、HAS2+/-群における気道リモデリング重症化の有無を検証・メカニズムの解明を図る方針である。 過去2年間においては、まず気道リモデリング重症化の有無を組織学的に明らかにするため、各種染色後の形態計測を実施、並行して気管支肺胞洗浄液中の細胞数および分画の測定を行い、好酸球性気道炎症を評価した。この結果、HAS2+/-群において有意な慢性好酸球性気道炎症の悪化と杯細胞の過形成を認めた。一方、急性気道炎症モデルで認められたような好中球性気道炎症の増強は確認できず、気道過敏性にも有意差を認めなかった。気管支肺胞洗浄液(BALF)・肺実質破砕液双方でサイトカインの測定を行ったところ、興味深いことにHAS2+/-群の肺実質においてIL-17が有意に上昇していた。また、肺における病態評価のためRNA-seq解析を施行したところ、TGF-betaを介した経路が有意に抑制されていた。HAS2 mRNAはOVA刺激後のHAS2+/-群において有意に抑制されており、TGF-betaも有意に減少していた。HAS2の抑制に伴い、下流のCD44-TGF-beta経路が抑制されている可能性が示唆された。 上記研究成果については、中間報告としてデータを取りまとめ、2019年度の日本呼吸器学会、米国胸部疾患学会で成果報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた。野生型マウス・HAS2ヘテロ欠損マウスでのリモデリング病態の確認、表現型の評価、病態の解析はほぼ予定通り施行できており、各種解析によりHAS2機能異常がCD44-TGF-beta経路を介して影響している可能性を見出している。残念ながら続報を発表予定であったATS2020はCOVID-19の流行により中止となってしまったが今後、学会での成果報告を行う上で充分なデータを蓄積している。以上より、今年度は期待通りの研究の進展を得ているものと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画3年目である2020年度は、これまでの成果を踏まえ、HAS2機能異常が気道リモデリングの増悪要因と思われる、IL-17, TGF-betaの変化を及ぼした経路の解明および臨床的意義を解明する。具体的には、①CD44, TLR4といったヒアルロン酸結合蛋白の発現の変化をqRT-PCRで評価、②ヒアルロン酸量の定量およびヒアルロン酸分画の変化を解析、することでさらなる病態解明を図る。また、IL-17の上昇は難治性喘息の要因ともなりうるのでステロイド抵抗性についても検証する。 具体的にはHAS2+/-および野生型マウスは本学筑波大学 生命科学動物資源センターにて、定期的に野生型マウスを交配し今年度も継続して維持・繁殖・供給を行い、OVA長期暴露をイソフルラン麻酔下で実施する。肺検体を採取し上述の解析を行う。また、ステロイド投与等を介入することにより治療抵抗性についても検証する。これらの解析を上半期で終了し論文投稿を目指す。
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Research Products
(1 results)