2018 Fiscal Year Annual Research Report
担持金属触媒の精密設計による新規アクセプターレス脱水素反応の開発
Project/Area Number |
18J21337
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉井 大地 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 銅 / 不均一系触媒 / 脱水素ボリル化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、担持金属触媒ならではのアプローチによって、高い原子効率と低い環境負荷を備える反応であるアクセプターレス脱水素反応を実現できると考え、「担持金属触媒の精密設計による新規アクセプターレス脱水素反応の開発」を研究課題としている。 初年度である本年度においては、スチレン類の脱水素ボリル化反応を目的反応に設定し、本反応を実現するための触媒設計および反応系の設計を行った。その結果、水素分子を放出するアクセプターレス脱水素型の反応は実現できなかったが、適切な有機分子をアクセプターとして用いることによって、担持銅触媒による選択的な脱水素ボリル化反応および脱水素ジボリル化反応を確立した。 β-ボリルスチレンおよびβ,β-ジボリルスチレンは,鈴木-宮浦カップリング反応による種々の多置換アルケンの合成に利用可能であり、ビルディングブロックとして有用な化合物である。多様なβ-ボリルスチレンおよびβ,β-ジボリルスチレンの合成に適用可能な手法の1つとして、対応するスチレン類の脱水素(ジ)ボリル化反応が挙げられる。本研究では、担持銅水酸化物触媒が、ビス(ピナコラト)ジボロンをボリル化剤とするスチレン誘導体の脱水素ボリル化反応に不均一系触媒作用を示すことを見出した。さらに、適切なケトンをアクセプターとして添加することによって、良好な収率で対応するβ-ボリルスチレンが得られることを明らかにした。また、担体やアクセプターを適切に変更することによって、選択的にβ,β-ジボリルスチレンを得ることも可能であった。本研究で得られた成果はACS Catalysis誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水素分子を放出するアクセプターレス型の反応は実現できていないものの、脱水素型反応の選定、鍵となる素反応の抽出、有効な担持金属触媒の設計、目的反応に対する活性評価といった手順を経ることによって、固体触媒を用いた新しい脱水素型反応系の構築に成功した。当反応系は、反応条件などを少し変更するだけでモノボリル化、ジボリル化の選択性を制御できるため、合成的にも非常に価値のある反応であると考えられる。また、これらの過程を通して、種々の担持金属触媒の調製手法および解析手法を確立できたほか、反応機構の解明を経て当初想定していなかった他反応へ応用展開に関する知見を得ることもできた。したがって、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度に得られた触媒設計手法や反応機構に関する知見をベースとし、さらに高機能な触媒・反応系の設計を行うことにより、高い原子効率と低い環境負荷を備える反応であるアクセプターレス脱水素反応の開発を行う。例えば、複数の金属の合金化やコアシェル構造の形成、電子供与性・受容性担体の選択を行い、担持金属種の電子状態を目的反応に応じて制御することで、より洗練されたアクセプターレス脱水素反応を開発する。また、当初想定していなかった反応への応用展開も検討する。
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Research Products
(4 results)