2018 Fiscal Year Annual Research Report
折り紙をベースとした高性能運動機構の新たな設計・具現化手法の提案とその適用
Project/Area Number |
18J21466
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松尾 博史 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 折り紙構造 / 伸展機構 / 機構の挙動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
伸縮可能な折り紙機構の一つであるOrigami Springを取り上げ,この折り紙機構を応用した新たな伸展機構の設計のために,展開図中の直角三角形を鈍角三角形に変更することで改良を試み,作業領域や運動特性が変化することを紙のモデルおよび数値解析で検証した.加えて,鈍角がある角度よりも大きくなると,傾きを伴った伸縮運動と垂直方向への伸縮運動の2つの運動モードを持つようになることを明らかにした.この結果は,特定の機能を持たせる可能性を示しており,Origami Springを応用した伸展機器の設計に役に立つと考えられる. 上記の結果をもとに,部材の干渉や変形が生じにくいようにプロトタイプを設計し,主に3Dプリンタを用いて製作を行った.その運動特性を解析結果と比較し,解析手法および設計手法が有用であることを確認した.この解析手法では構造内の一部の弾性変形が考慮されており,解析におけるモデルの有用性が特に示された. 以上の結果に基づき,製作した伸展機構の駆動法を検討した.Origami Springの構造をそのまま適用する場合,作業領域の減少や駆動の妨げになると考えられる挙動が生じてしまう.そこで,機構学的特性を生かしながら,かつシンプルな構造にするために,機構の改良を行い,プロトタイプを製作した.その運動特性を実験的に把握したのち,解析モデルをこれまでの成果をもとに構築し,作業領域の解析を行った.実験および解析の結果,改良した伸展機構は,既存の伸展機構と比べて小さな曲率半径で大きく傾くことができることが明らかになった.この伸縮機構の駆動法について,複数の直動アクチュエータを用いたワイヤ駆動が有用であることを,簡易的な実験によって検証し,シンプルな駆動法を提案するに至った. 提案する動作支援機器としての応用については,機構全体を瞬時に伸展させる方法として空圧駆動に関する基礎実験を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究実施計画と照らしあわせ,本研究で研究対象としているOrigami Springに関する展開図の最適化やその伸縮率および作業領域の解析について,有用なモデル化方法および解析方法を提案するに至った.また,その解析に基づき,最初の目標である,剛性の高い材料を用いたプロトタイプの設計および製作を行い,その伸展機構の有用性を示すに至った. 製作したプロトタイプについて,動作支援機器以外の適用先として伸展マニピュレータが挙がり,今年度後半はそのアプリケーションとしての研究が中心となった.一点,製作したプロトタイプにはまだ駆動系が実装されておらず,簡易的に駆動可能な状況であり,十分な動作実験を行うには至っていない.この点について,次年度で迅速に進捗を生むことが必要である. また,提案する動作支援機器については,空圧駆動の基礎的な実験は行ったものの,プロトタイプの動作確認の結果,機構の見直しが必要な可能性も出てきている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,動作支援機器としての研究について,Origami Springだけでなく,他の伸展可能な折り紙構造と合わせて,それぞれの簡易的なプロトタイプを作成しながら,有用な構造を検討する.それをもとに,具現化方法および駆動法の指針を明確化する. また,伸展マニピュレータとしての研究について,製作したプロトタイプに駆動系および制御系を実装し,動作実験を行う.現在実装しようとしている駆動法で十分な構造の安定性を得られるかどうかを検証し,課題点の洗い出しを行う.この課題点の改良を行い,伸展マニピュレータの完成を目指す.
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Research Products
(4 results)