2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J21469
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
柿沼 亨祐 同志社大学, 心理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 教育心理学 / 動機づけ / ほめ / 能力 / 努力 / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度の研究でみられた,努力ほめに対する特定性の調整効果の追試を目的とした2つの実験を実施した。 実験1では,昨年度の研究からシナリオの内容と統制群を変更して追試を行った。実験1の統制群には,客観的な結果についてのフィードバック(e.g., 「問題を正確にとけているね」)を行ってもらった。実験では,ほめに関する2群 (努力ほめ群と客観的な結果のフィードバックを行う統制群) × 特定性に関する2群 (全般的にフィードバックを行う全般群と特定的に行う特定群) の合計4群を設定して,実験参加者 (n = 124) をいずれかの群に割り振った。分析の結果,興味・パフォーマンスのいずれの変数に対しても,ほめと特定性の交互作用はみられず,努力ほめの効果は特定性によって調整されているという結果は再現されなかった。特定努力ほめの効果が再現されなかった理由として,全般群の参加者の7割が特定的なフィードバックを行っていた点,統制群のフィードバックの内容が努力のほめと類似していた点から,全般努力ほめ群や統制群の操作が特定努力ほめの操作になっていた可能性がある。 実験2では統制群を客観的な結果についてのフィードバックから,得点のフィードバック(e.g., 「~点ですね!」)に変更した。また,手続きをシナリオから採点課題に変更した。実験では,全般的に努力ほめを行う群,特定的に努力ほめを行う群,統制群の合計3群を設定して,実験参加者 (n = 120) をいずれかの群に割り振った。分析の結果,興味・パフォーマンスのいずれの変数に対しても,ほめと特定性の交互作用はみられず,努力ほめの効果は特定性によって調整されているという結果は再現されなかった。ただし,ほめの操作に関しては,参加者はそれぞれの群に合ったフィードバックやほめの文章を記入しており,実験1とは異なり操作は成功していたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画について,本年度実施した実験において想定された努力ほめの効果は見られず,昨年度の実験結果が再現されなかった。しかし,研究発表に関しては,現在3つの論文を国際誌に投稿し,査読中である。さらに国際学会で本研究にかかわる研究成果の発表を行った。以上の理由から,研究結果については課題が残っているものの,研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,昨年度の実験を,実験手続きや統制群に変更を加えずに追試して,努力ほめに対する特定性の調整効果が再現されるのかを確認する予定である。加えて,努力ほめの効果が見られる状況的な要因について検討する実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] Effects of Praise in Daily Friendship Situations: Effects on Mindset and Motivation, poster2019
Author(s)
Kakinuma, K., Nishiguti, F., Sonoda, K., Tajiri, H., & Tanaka, A.
Organizer
European Association for Research on Learning and Instruction (EARLI) 2019
Int'l Joint Research