2020 Fiscal Year Annual Research Report
分配的正義の合意形成を支える認知・神経メカニズムの解明
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18J21498
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上島 淳史 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 資源分配 / 合意形成 / 不平等 / 格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
集団での分配意思決定を扱った共著論文を発表した(Ueshima, Mercier, & Kameda, 2021, Journal of Experimental Social Psychology)。この研究では、民主主義にとって重要な要素の1つであるとされる人々の間での議論が、分配的正義に関する意思決定に与える影響を明らかにする目的で2つの実験室実験と1つのオンライン実験を実施した。結果として、他者と議論し、望ましい資源分配について合意形成する経験は、最も恵まれない人の福利を向上させる分配法(マキシミン分配)への支持を増加させることが明らかになった。 加えて、上記のような合意形成場面での意思決定を支える認知メカニズムを明らかにする目的で実施した、個人での分配決定場面を扱った共著論文を発表した(Ueshima & Kameda, 2021, Royal Society Open Science)。この研究では、人々が個人的に分配の意思決定を下す場面において、最不遇者への配慮と平等性への配慮がそれぞれどのように働くのかを認知科学的手法(マウストラッキング法)を用いて検討した。実験参加者は次の2つの分配法からどちらか1つを選んだ。1つの分配法は、最不遇者の利益の点でも平等性の点でももう一方の選択肢よりも優れていた。もう一方の選択肢は、分配が人々にもたらす総利益(社会的効率性)の点で優れていた。どちらの選択肢を選んだかの情報だけでは、参加者が最不遇者への配慮と平等性への配慮のどちらを重視していたかはわからない。しかし、本研究では、参加者がコンピュータースクリーンの上でどちらかの2択のうちどちらかを選ぶ際のマウスカーソルの軌跡を分析することで、この2つの配慮のうち参加者が最不遇者への配慮を優先させていた可能性を示した。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)