2018 Fiscal Year Annual Research Report
集合現象のダイナミクスを支える認知・生理プロセスとその神経基盤の検討
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18J21510
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 起吏 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | social information / group decision-making / producer-scrounger game / speed-accuracy tradeoff / drift-diffusion model |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、speed-accuracy tradeoff状況(速さと正確さのトレードオフがある状況;SAT状況)下で2者がどのように社会情報(相手の意思決定)を処理し、相互作用するかを実験室実験により検証した。2者が互いの意思決定に対してどのような重みづけをするかという問いは従来より心理学・行動生態学領域で検証されてきたが、社会情報が常に自分の意思決定より先行していることを踏まえると、時間(speed)は社会学習・集団意思決定において重要な要因である。また、SAT状況における個人の意思決定は実験・数理モデルにより検証されている一方で、社会情報がどのように処理されているかは未だ検証されていなかった。 認知モデルによる分析の結果、いくつかの重要な知見が得られた:(i) SAT状況において、人は社会情報の精度を見極めた上でフォローすることができる;(ii) SAT状況では、意思決定が正確な人ほど慎重に、不正確な人ほど拙速に判断する;(iii) 2人が互いの判断を参照しながら同時に意思決定する際は、単独個人のときよりも判断が拙速になる;(iv) (i)~(iii)の結果、理論上は2人のときのほうが正確かつ素早く意思決定できるはずであるにもかかわらず、1人/2人のパフォーマンスには差が見られなかった。これらの実験結果は、人間の認知メカニズムを理解する上で生態学的要因を考慮することの重要性を示唆するものである。この実験結果は第11回日本人間行動進化学会において進化心理学・数理生物学の研究者の関心を集め、活発な議論が展開された。 なお、並行して2者の長期的な協力関係の構築に関する実験室実験も実施しており、この実験の結果は現在Evolution and Human Behavior(進化と人間行動に関する国際学術誌)に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来の社会学習・集団意思決定研究では、意思決定に要する時間(speed)という要因が考慮されてこなかったが、今年度の実験ではspeed-accuracy tradeoffを導入することで、社会情報の処理過程に対して重要な視座を与える実験結果が得られた。また、認知モデルによる分析も並行して進んでおり、認知心理学・行動科学・数理生物学において領域横断的なインパクトを持つ研究になりつつあると考えられる。 また今年度は、認知・生理計測技術の習得およびネットワーク実験の構築も進んだ。特にアイトラッカー(視線追尾装置)や生理反応測定装置を用いた実験の成果はEvolution and Human Behavior(進化と人間行動に関する国際学術誌)に投稿中であり、技術習得が順調に進んでいると言える。これらの研究の進展を踏まえると、来年度には3者以上の人間が相互作用する際の認知生理プロセスを検証できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、主に行動データの結果から、speed-accuracy tradeoff状況における2者の社会情報の処理プロセスを検証した。次年度では、今年度に確立された実験パラダイムを用いつつ、アイトラッキング手法を組み合わせることで、実験参加者の認知生理プロセスを数理モデルとともに検証する。また、相互作用する人数の規模を拡大し、3者以上の場合との共通性と差異を明らかにする。また、本年度および次年度の実験で得られた結果をもとに論文を執筆・投稿する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] The perception of spontaneous and volitional laughter across 21 societies.2018
Author(s)
Bryant, Fessler, Fusaroli, Clint, Amir, Chavez, Denton, Diaz, Duran, Fancovicova, Fux, Ginting, Hasan, Hu, Kamble, Kameda, Kuroda, Li, Luberti, Peyravi, Prokop, Quintelier, Shin, Stieger, Sugiyama, van den Hende, Viciana-Asensio, Yildizhan, Yong, Yuditha, & Zhou
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Journal Title
Psychological Science
Volume: 29
Pages: 1515-1525
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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