2018 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚における抑制性免疫受容体アラジン-1を介したTh2応答制御機構の解明
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18J21512
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴垣 翔平 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 接触型過敏症 / 抑制性免疫受容体 / アラジンー1 / Th2応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚は微生物の侵入を防ぐバリア機能を有し、微生物感染時には1型ヘルパーT細胞 (Th1) による応答が生体防御に働く一方、2型ヘルパーT細胞 (Th2) による応答はアレルギーの発症に関わる。しかし、皮膚におけるTh2応答がどのように誘導及び制御されるかについての全容は未解明である。 抑制性免疫受容体アラジン-1が皮膚の獲得免疫応答を制御するか明らかにするため、定常状態の皮膚組織中におけるアラジン-1の発現を解析したところ、アラジン-1は樹状細胞、肥満細胞、マクロファージ及び好中球に発現していた。次に、BALB/c及びC57BL/6系統の野生型 (WT) 及びアラジン-1遺伝子欠損 (KO) マウスを用いて接触型過敏症 (contact hypersensitivity : CHS) モデルを検証した。Dinitrofluorobenzene (DNFB) によるTh1型またはFluorescein isothiocyanate (FITC) によるTh2型CHSを誘導し病態を比較したところ、Th1型CHSの耳介腫脹に差はなかったが、Th2型CHSはWTマウスと比較してアラジン-1 KOマウスで耳介腫脹が亢進した。さらに、Th2型CHSにおいて血清IgE抗体価がアラジン-1 KOマウスで亢進し、誘発2日目の所属リンパ節におけるFITC陽性CD11c+ 樹状細胞数もアラジン-1 KOマウスで増加していた。 以上の結果より、アラジン-1が皮膚のTh2型CHS反応の抑制に関わるが、Th1型CHS反応の抑制には働かないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
接触型過敏症モデルマウスを用いてアラジン-1が皮膚のTh2型CHS反応の抑制に関わるが、Th1型CHS反応の抑制には働かないことを明らかにした。Th2型CHSにおける肥満細胞または樹状細胞上のアラジン-1の機能を明らかにするには、肥満細胞または樹状細胞のみでアラジン-1を欠損したマウスが必要である。既にアラジン-1の遺伝子にloxP配列を挿入したマウス (Allergin-1flox/flox) 及びAllergin-1flox/floxマウスと肥満細胞または樹状細胞特異的Cre発現マウス (Mcpt5-CreまたはCD11c-Cre) を交配させたコンディショナルノックアウトマウスも樹立しており、解析はすぐに行える状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
① Th2応答におけるアラジン-1の機能を明らかにするため、Th2型CHS誘導後のリンパ節(鼠径、腋窩)におけるFITC+ 樹状細胞及びTh2細胞の数、樹状細胞上の活性化マーカーCD80、CD86、CD40及びTh2分化因子OX40L、Notchリガンドの発現をフローサイトメトリー法で解析する。Gata3、IL-4の発現はqPCR (quantitative polymerase chain reaction) 法で解析する。耳介はコラゲナーゼIIで処理し、浸潤してきた顆粒球、肥満細胞の数及び細胞内サイトカイン染色によりTh2細胞の数をフローサイトメトリー法で解析する。 ② Th2型CHSにおける肥満細胞及び樹状細胞上のアラジン-1の機能を明らかにするため、肥満細胞系列特異的または樹状細胞系列特異的コンディショナルアラジン-1 KOマウス (Mcpt5-Cre×Allergin-1flox/floxまたはCD11c-Cre×Allergin-1flox/flox) にTh2型CHSを誘導し病態を比較する。 ③ 細胞内シグナル伝達分子 MyD88 (Myeloid differentiation factor 88) は、TLR及びIL-33R (ST2) の下流に存在しTh2応答の誘導に重要である (Piggott DA, et al, J Clin Invest, 2005, Li C, et al, Cell Death Dis, 2017)。そこで、アラジン-1がMyD88経路を抑制するか明らかにするため、MyD88 KO 及びMyD88/Allergin-1 二重欠損 (DKO) マウスを用いてTh2型CHSを誘導し病態を比較する。
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Research Products
(1 results)