2019 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚における抑制性免疫受容体アラジン-1を介したTh2応答制御機構の解明
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18J21512
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴垣 翔平 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 接触型過敏症 / 抑制性免疫受容体 / アラジン-1 / Th2応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚は微生物の侵入を防ぐバリア機能を有し、微生物感染時には1型ヘルパーT細胞 (Th1) による応答が生体防御に働く一方、2型ヘルパーT細胞 (Th2) による応答はアレルギーの発症に関わる。しかし、皮膚におけるTh2応答がどのように誘導及び制御されるかについての全容は未解明である。 皮膚のTh2応答におけるアラジン-1の機能を明らかにするため、Th2型CHS誘導後の耳介に浸潤してきた好酸球の割合をフローサイトメトリー法で解析したところ、CD45.2+ 細胞中の好酸球の割合は野生型(WT)マウスと比較してアラジン-1遺伝子欠損(KO)マウスで有意に増加した。この結果から、アラジン-1が耳介の皮膚の好酸球増加を抑制することが示された。また、Th2型CHS誘導後のリンパ節(鼠径、腋窩)における樹状細胞上の活性化マーカーCD80、CD86、CD40及びTh2分化因子OX40Lの発現をフローサイトメトリー法で解析した。その結果、WTマウスと比較してアラジン-1 KOマウスにおいてCD11c+ MHC class II+ 樹状細胞上のCD80、CD40の発現が上昇した。 以上の結果より、アラジン-1が樹状細胞の活性化シグナルや共刺激分子の発現を抑制することで皮膚のTh2応答を抑制する可能性が示された。皮膚のTh2応答におけるアラジン-1の制御機構が明らかになれば、抗アラジン-1モノクローナル抗体またはリコンビナントアラジン-1リガンドを用いたアレルギー疾患の新規治療法への応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
接触過敏症(CHS)マウスモデルを用いてアラジン-1が樹状細胞の活性化シグナルや共刺激分子の発現を抑制することで皮膚のTh2応答を抑制する可能性を示した。昨年度にアラジン-1がMyD88経路を抑制するか明らかにする予定であったが、MyD88 KO及びMyD88/Allergin-1二重欠損 (DKO) マウスを用意することができず解析を行えなかった。今年度、解析を進めていく。 アラジン-1リガンドは未だ同定されていないが、アラジン-1レポーター細胞を用いた方法によりマウスの生体内におけるリガンド候補分子を同定した。現在、結合解析及び機能解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
①Th2型CHSにおける肥満細胞及び樹状細胞上のアラジン-1の機能を明らかにするため、肥満細胞または樹状細胞のみでアラジン-1を欠損したマウス (Mcpt5またはCD11c-Cre×Allergin-1flox/floxマウス) にTh2型CHSを誘導し病態を比較する。 ②Th2応答の誘導には上皮細胞から産生されるサイトカインthymic stromal lymphopoietin (TSLP)、Interleukin-25 (IL-25) 及びIL-33によるシグナルが重要である (Licona-Limon P, et al, Nat Rev Immunol, 2013)。そこで、アラジン-1がこれらのシグナル伝達を抑制するか明らかにするため、これらのサイトカインでアラジン-1 KOまたはWTマウス由来のBMMCまたは骨髄由来樹状細胞 (Bone marrow-derived dendritic cell : BMDC) を刺激し、IL-4及びIFN-γの産生をCBA 法で比較定量解析する。 ③Th2型CHSにおけるアラジン-1リガンドの発現局在を明らかにするため、定常状態またはTh2型CHS誘導後の腹部、耳介の皮膚及びリンパ節においてアラジン-1リガンドに特異的に結合するプローブを用いて免疫組織染色及びフローサイトメトリーで解析する。 ④治療標的にアラジン-1が有効であるか明らかにするため、治療に有効なアラジン-1リガンドまたは抗アラジン-1モノクローナル抗体の量及び投与時期を明らかにする。
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Research Products
(2 results)