2019 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元対称性に基づく超対称ゲージ理論の可解性と双対性の解明
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18J21528
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 浩一 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 量子トロイダル代数 / 変形W代数 / 超対称ゲージ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子トロイダル代数を用いてW代数の量子変形に関する研究を行った。これまで知られている変形W代数は主W代数の変形であるが、本研究ではFeigin-Semikhatovによって調べられたW代数の変形について考察した。量子変形を構成するにあたり、GaiottoとRapcakによる最近の研究結果を用いている。GaiottoとRapcakは超対称ゲージ理論の文脈で様々なW代数を構成しているが、これらはアファイン・ヤンギアンを貼り合わせることで得ることができる。まずは、これを量子トロイダル代数に持ち上げる方法を考え、量子トロイダル代数に関する幾つかの結果を組み合わせることで、貼り合わせに必要な頂点演算子の形を特定した。それをもとにしてFeigin-SemikhatovのW代数のq変形を提唱した。具体的には、遮蔽電荷と可換になる頂点演算子を構成し、代数関係式を確認した。特に、Bershadsky-Polyakov代数の場合に代数関係式を詳細に調べた。また、この代数は面演算子の存在下での5次元超対称ゲージ理論と対応すると考えられており、分配関数とWhittakerベクトルのノルムの比較も行った。 また、別のテーマにも取り組んだ。単純リー代数から得られるループ代数を中心拡大することでアファインリー代数が得られるが、これの拡張としてコセット空間の場合を考え、そのような代数に値を取る場で記述される行列模型を考察した。その結果、コセット空間上のゲージ理論を導出することに成功した。また、コセット空間上のゲージ理論や行列模型は異なる観点から先行研究で調べられているが、その結果と整合的であることも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自由場表示を用いて代数の具体形をあからさまに書けたことは大きな成果であった。一般の変形W代数を理解する上で非常に重要な結果だと考えている。本年度中に論文を仕上げるには至らなかったが、2020年度のはじめには論文にまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは一般のDrinfeld-Sokolov還元に対するA型のW代数の量子変形を明らかにしたい。本年度の研究では比較的扱いやすい場合を考察したが、一般の場合では計算がより複雑になると予想されるので、効率の良い方法を模索する。また、可能な範囲でゲージ理論側の分配関数との比較も行う。 別の方向のテーマとして、B,C,D型のゲージ群に対するAGT対応についても考察したい。最近になり、B,C,D型の変形W代数が量子トロイダル代数から実現できることが明らかになった。この結果と位相的弦理論の手法を組み合わせることで、系統的に解析を進めることができるのではないかと考えている。
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