2018 Fiscal Year Annual Research Report
再生核適応フィルタに基づく非線形時系列データ予測アルゴリズムの研究
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18J21595
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
滝沢 雅明 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 再生核適応フィルタ / パラメータ最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存の再生核適応フィルタでは,推定対象の関数に応じて再生核自身のパラメータを手動で設定する必要があった.具体的には,ガウス核の場合には,ガウスの幅がパラメータであり,推定対象の関数の周波数成分に応じて適切に決定する必要があった.また,同じくガウス核においては,ガウスの中心点もパラメータとなる。既存の方法では,中心点は入力データから決定され,一度決定された中心点は学習の間固定されていた.しかし,上記のパラメータ決定方法にはそれぞれ以下のような問題点がある:幅の決定においては,あらかじめ推定対象の周波数成分がわかっていないと適切なパラメータの設計は困難である.周波数成分が未知の場合には,クロスバリデーションのような方法でパラメータを決定する必要があり,実用上問題となる可能性が高い.中心点の決定においては,もし学習に利用可能なサンプルデータが少ない場合には,よい中心点が利用できない可能性があり,推定精度の向上が阻害される要因となる. これらの問題点は,時系列予測の応用においても推定精度に対する根源的な課題となりうるため,まずは再生核自身のパラメータを自動的に調整する再生核適応アルゴリズムの提案を行った.再生核のパラメータを自動調整するアルゴリズムはすでにいくつか提案されているが,非凸最適化を基にしているため得られる解が局所最適解に陥る可能性があり,調整が望みどおりに行われないケースが確認された.そこで,パラメータの初期値に工夫を加えることにより,適当にパラメータの調整が行われる方法の提案を行い,シミュレーションによりその有効性を確かめた.さらに,提案法を実データの時系列予測に応用することにより,実世界の問題に対しても有効であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記載した再生核適応フィルタの問題点は,時系列予測の応用においても推定精度に対する根源的な課題となりうるため,本問題に対する有効な対策が得られたことは,大きな進捗であると考えられる.また本内容は,2019年5月に開催予定の信号処理分野のトップカンファレンスであるICASSP2019に採択され有効性が認められているとともに,今後,さらなる詳細な検討および他分野への拡張や実問題への応用が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
提案手法を基にした時系列データ予測アルゴリズムの学術論文誌への投稿 上記の提案手法に対し以下の検証を加え,学術論文誌への投稿を行う: 提案手法の理論的解析を実施する.具体的には,提案手法により更新されるパラメータがコスト関数の単調減少を保証することを明らかにする.推定に使用する再生核の決定方法を見直し,推定精度の向上および計算量の効率化を図る.時系列予測の応用に対する有効性のさらなる検証を行う.具体的には,多くの時系列データに対して提案法を適用し,性能検証を行い改善を試みることで,様々なデータに対応可能な手法の構築を図る.また,時系列予測の代表的手法,例えばカルマンフィルタ等,との比較を行い,提案法の有効性を時系列予測の分野においてアピールする強みとする. 提案手法のRBFネットワーク分野への拡張 再生核としてガウス核を用いた場合,上で説明した再生核パラメータの決定に関する課題は,RBFネットワークの分野でも共通して問題視されている.また,その課題を解決する明確な手段が提案されていない.そこで,オンラインRBFネットワークに対する提案法の応用を検討する.
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