2019 Fiscal Year Annual Research Report
再生核適応フィルタに基づく非線形時系列データ予測アルゴリズムの研究
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18J21595
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
滝沢 雅明 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 適応非線形関数推定 / 再生核 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生核の理論に基づいた非線形関数推定手法において,再生核の選択は推定結果に大きく影響する.例えば,頻繁に用いられるガウス核においては,ガウスの幅変数を決めることが再生核の選択と解釈することができる.再生核の適応的な選択は適応信号処理の分野に止まらず,機械学習や関連分野においても重要な未解決課題である.これは,2020年5月に行われた,信号処理の国際会議IEEE ICASSP2020においても,本課題に関連すると見ることができる発表がある程度見受けられたことからも裏付けられる.しかしながら,決定的に優位な性能を持つアルゴリズムの提案はなされておらず,今後も大いに研究の余地があり,継続して取り組むべき課題であると認識している. この問題点は時系列予測の応用においても推定精度に大きな影響を与えうるため,昨年度,再生核自身のパラメータを自動的に調整する再生核適応アルゴリズムの提案を行った. 本アルゴリズムについて,さらなる性能検証を実施し,初期パラメータ選択に対するロバスト性を数値実験にて実証した.また,コスト関数の単調減少性を含む理論的な解析を実施し,これらの成果をまとめた論文はIEEE Accessに採録されている本アルゴリズムの性能検証を通して,ガウス幅の初期値が最適幅から遠い際に,学習の速度が著しく遅くなることを確認した.そこで,コスト関数への補正を加えることにより,ガウス幅の学習速度の改善を試みた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響による研究の遅延があったが,2020年後半においては,円滑に研究活動を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
時系列データが非定常であることを想定し,非定常なシステムを高速に追従する非線形推定アルゴリズムを検討した.推定アルゴリズムは再生核適応フィルタを基とし,多核適応アルゴリズムをさらに拡張することにより高速な推定を実現する.アルゴリズムの構築および実装は実現されており,簡単な数値実験では有効性が確認できた.今後,さらに詳細な性能評価および既存アルゴリズムとの比較を行い,論文にまとめる.
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