2018 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸塩試料数種の高精度分析による過去三千年間の南太平洋における古気候・古環境復元
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18J21630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福與 直人 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 放射性炭素年代測定 / 海水準変動 / ローカルリザーバー効果 / 鍾乳石 / 二枚貝 / 炭酸塩 / SQUID顕微鏡 / ウイグルマッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
オーストラリア国立大学(ANU)との共同研究により、Glacial Isostatic Adjustment (GIA)モデルを用いてトンガ王国トンガタプ島周辺の海水準変動の復元ならびに高精度のLight Detection and Ranging (LiDAR)データを用いた古海岸線の復元を行った。また、貝化石の放射性炭素年代測定を行い、過去の水塊変動を推定した。これらを組み合わせることで、考古学的な研究で提唱されているトンガタプ島における海水準変動に伴う環境変動を定量的に明らかにすることが出来た。以上の成果は、国内学会に発表したほか、現在国際誌に投稿準備中である。 また、昨年度より産業技術総合研究所において、地質試料用走査型超伝導量子干渉素子(SQUID)顕微鏡を用いた、鍾乳石の古地磁気・岩石磁気測定を行った。加えて交番磁場勾配磁力計(AGM)による測定と高知コアセンターにおいてMagnetic Property Measurement System(MPMS)による測定も行った。その結果、残留磁気をマッピングすることに成功し、その成因についても検討を行うことが出来た。以上の成果は、国内学会に発表したほか、現在国際誌に投稿準備中である。 さらに秋田県の赤神神社が所蔵する木造狛犬・獅子像の年代測定を行った。加速器質量分析器とウイグルマッチング法を用いた年代決定により、これらの木材が6世紀から11世紀を示すことが明らかになった。これらの年代は、平安中期とされる赤神神社の創建期に迫る資料となる可能性がある。以上の成果は、国際学会にて発表したほか、国際誌に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者と共に、貝化石を用いた放射性炭素年代測定、GIAモデル、LiDARデータを用いてトンガの完新世地形変化と環境変動を明らかにしたほか、SQUID顕微鏡を用いた鍾乳石に対する古地磁気・岩石磁気測定への適用にも成功した。これらの研究は国際誌への投稿を準備するに至っている。また、2018年度も引き続きトンガ王国に赴き、環境モニタリングや化石サンゴ資料の取得を行った。さらに木造遺物に関する放射性炭素年代測定に関する論文を国際誌に投稿し、受理された。以上のことから、ほぼ当初の研究計画通り、研究を進めることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の成果を国際誌に投稿するほか、前年度トンガ王国で採取した化石サンゴ試料に対して、続成作用の評価を行った後、U/Th年代測定による年代決定、放射性炭素年代測定を用いたより長期的な水塊変動の復元を行う。また、2019年度も引き続きトンガ王国に赴き、現地調査・サンプリングを行う。
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Research Products
(6 results)