2019 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸塩試料数種の高精度分析による過去三千年間の南太平洋における古気候・古環境復元
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18J21630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福與 直人 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 放射性炭素年代測定 / 海水準変動 / ローカルリザーバー効果 / 鍾乳石 / 二枚貝 / SQUID顕微鏡 / 環境磁気 |
Outline of Annual Research Achievements |
オーストラリア国立大学(ANU)との共同研究により、Glacial Isostatic Adjustment (GIA)モデルを用いてトンガ王国トンガタプ島周辺の海水準変動の復元ならび に高精度のLight Detection and Ranging (LiDAR)データを用いた古海岸線の復元を行った。また、貝化石の放射性炭素年代測定を行い、過去の水塊変動を推定し た。これらを組み合わせることで、考古学的な研究で提唱されているトンガタプ島における海水準変動に伴う環境変動を定量的に明らかにすることが出来た。以上の成果は、国内学会に発表し、2019年度日本地球惑星科学連合大会学生発表賞を得るなど高い評価を受け、現在国際誌に投稿し、現在査読中である。 産業技術総合研究所において地質試料用走査型SQUID顕微鏡を用いた、鍾乳石の古地磁気・岩石磁気測定を行った。また、交番磁場勾配磁力計(Alternating Gradient force Magnetometer: AGM)を用いた測定、高知コアセンターにおいてMagnetic Property Measurement System(MPMS)による測定を行った。その結果、残留磁気をマッピングすることに成功した。また、そこで明瞭となった表面と内部の磁性の違いが、堆積環境が酸化的に変化したことに起因する可能性を明らかにした。鍾乳石の残留磁気をマッピングした本研究の成果は、現在のところ世界でも3例目であり、国内学会・国際学会に発表したほか、現在国際誌にて査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者と共に、トンガの完新世における海水準変動とそれに伴う古環境変動を明らかにした。また、SQUID顕微鏡を用いた鍾乳石の古地磁気・岩石磁気測定を行い、その結果が環境変動を記録する可能性があることを明らかにした。これらの研究は、国際誌への投稿を行い、現在査読中である。また本年度も引き続きトンガ王国に赴き、環境モニタリングや現生貝の試料の採取を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
トンガ王国で採取した鍾乳石試料に対して、U/Th年代測定による年代決定を行い、鍾乳石に関する古地磁気研究を進展させる。また、2020年度は最終年度にあたるため、これまで得たデータに関しても随時国際誌への投稿を進める。
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Research Products
(5 results)