2019 Fiscal Year Annual Research Report
血中タンパク質AIMによる慢性腎臓病の病態制御に関する研究
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18J21746
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平本 絵美莉 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | AIM / IgM / 構造解析 / AKI / CKD |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージが産生する血中タンパク質AIM (Apoptosis inhibitor of macrophage) は、通常血中でIgM五量体と結合して存在している。急性腎障害 (Acute kidney injury ; AKI) の発症時にはAIMがIgM五量体から解離し活性型となることで、その治癒に寄与している。近年、AKIの不完全な治癒が慢性腎臓病(Chronic kidney disease ; CKD)の発症の原因になる等、AKIとCKDの関連が報告されており、CKDの抑制・治療においてもAIMの活性化及び効果を検討することは有用であると考えられる。本研究では、AIMによるCKD発症抑制を目指し、AIMとIgM五量体の結合・解離メカニズムを明らかにするべく、AIM-IgM複合体の構造解析と相互作用の解明を行う。これまでに、ネガティブ染色法による二次元構造解析や生化学的実験から、AIMとIgMの結合に関して下記の点を明らかにした。 ・IgM五量体は正五角形ではなく六量体から1つの単量体が抜けたような空間を有する六角形ベースの五量体である ・AIMはそのIgM五量体の空間にちょうどはまり込むように存在している ・AIMとIgM五量体は、ジスルフィド結合と電荷相互作用によって結合している 続いて、三次元立体構造からさらに詳細な結合様式を解明するべく、クライオ電子顕微鏡による構造解析に取り組んだ。AIM-IgM複合体分子の凝集性や氷薄膜中での向きを改善するためにスクリーニングを行い、条件を最適化することで立体像を再構成することが可能となった。これによりAIMとIgM五量体の結合部位の詳細な同定を行っていく。この結果は、AIMによる新規治療法の開発に有用な知見をもたらすことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クライオ電子顕微鏡でのAIM-IgM複合体分子の構造解析において、三次元立体再構成が可能になるまで研究が進み、AIMとIgMの相互作用の解明について完成に近づいていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、クライオ電子顕微鏡による構造解析を進め、両者の結合様式の詳細な決定を予定している。これを基に、AIMをIgM五量体から解離させ活性型AIMを増やす“AIM活性化分子”の同定を行う。そして、活性型AIMによりCKDの予防、治療効果が認められるか、モデルマウスを用いて検討を行う。
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