2020 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおける側根発育機構の解明と圧縮土壌耐性系統作出への応用
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18J21800
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河合 翼 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | イネ / 側根 / 変異体 / 補償生長 |
Outline of Annual Research Achievements |
圧縮土壌では硬盤層により親根の深根生長が抑制される一方、補償的に側根を発達させることが地上部の生育維持に貢献する。イネにはメリステムの大きなL型側根と、小さなS型側根が存在するが、前者のみが長く伸長し高次の側根を生じるため、親根の伸長停止に応答したL型側根発生を高めることで、圧縮土壌耐性イネ科作物系統を作出できると考えられる。本研究では、圧縮土壌耐性作物育種に向けて、側根補償生長の遺伝的制御機構、および補償生長を高める上での理想的な根系形態の解明を目指した。なお、当初令和2年度が最終年度であったが、新型コロナウイルス感染症による影響で研究実施が遅延したため、補助金の一部を繰越し、令和3年度も研究を実施した。 側根原基サイズ制御機構の解明に向けて、これまでに見出した側根原基サイズ制御に関わる候補遺伝子の機能を解析した。その結果、L型側根発生を正に制御する因子としてホメオボックス型転写因子OsWOX10を同定した。また、同ファミリーのQHB/OsWOX5はOsWOX10の発現抑制を通じて側根原基サイズを負に制御することが判明した。加えて、小胞輸送に関わるダイナミンがオーキシンの極性輸送・側根原基におけるオーキシン分布の制御を通してOsWOX10発現を制御し、側根原基サイズを制御することが判明した。 側根補償生長を高める上での理想的な根系形態の解析のため、西オーストラリア大において半水耕栽培装置を用いた根系フェノタイピングを実施した。供試イネ品種の多くが根端切除後にL型側根形成を促し、総根長・地上部生育を維持した。さらに主軸根が太い品種において、主軸根数を減らすことで側根補償生長が強化されることが判明した。 本研究では、根系形態の遺伝的改良による補償生長能強化のための方策や基盤情報を得ることができた。これに基づき研究を発展させることで、将来的な圧縮土壌耐性作物系統の育成が期待される。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)