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2018 Fiscal Year Annual Research Report

中空コアファイバ中の魔法波長光導波路を使った原子干渉計の開発

Research Project

Project/Area Number 18J21958
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

高橋 忠宏  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2018-04-25 – 2021-03-31
Keywords量子エレクトロニクス / 中空コアファイバ
Outline of Annual Research Achievements

中空コアファイバ中の魔法波長光導波路を使った本研究を実行するため,中空コアファイバ中の原子集団の撮像系を構築した.光導波路の均一性の評価を行なった.この撮像系と冷却原子の狭線幅分光を組み合わせることで,ファイバ内での光導波路の均一性を,従来にない精度で評価することが可能となった.
光導波路の均一性は,光導波路によって形成される光双極子ポテンシャルの深さが光軸方向にどれくらい均一かによって定義される.作成した撮像系は,中空ファイバの内壁越しに分光時の原子数をシェルビングにより測定することが可能である.これにより,中空コアファイバ中に捕捉された原子の運動を0.1mm以下の空間分解能と,0.1ms以下の時間分解能において解析できるようになった.ファイバ中に捕捉された原子がどのようなポテンシャルを受けて光導波路中にガイドされているかを明らかにするため,ファイバ中の原子の運動を解析した.その結果,原子が光導波路中で局在する様子が観測され,均一だと思われていた中空ファイバ内の光導波路が均一では無い可能性が明らかになった.この手法は,時計遷移のような狭線幅の分光に適応することによって,内壁の局所的な電荷や電気双極子の検証が実現できる.本研究では,Sr原子の時計遷移分光を行うことで,中空コアファイバ中で100Hzの分解能での分光に世界で初めて成功した.ファイバの内部に直接冷却原子を導入し,ファイバの局所的な構造をプローブする手法は今までに例がなく,本研究の目的である原子干渉計の実現のみならず,中空コアファイバの新たな性能評価の手法としても応用できる可能性が高い.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

第一年度における研究では,ファイバ内における光双極子ポテンシャルの均一性を,空間分解分光によって評価するという新しい手法を確立した.この手法が,今後のファイバ内原子干渉計実現に向けた重要な要素技術になるため,一定の前進があったと言える.平成29年度から30年度にかけて中空コアファイバ中での空間分解分光を実施した結果,ファイバの内部に形成される光導波路に不均一性が見られ,光双極子ポテンシャルの深さが,原子温度(数μK)程度,光軸方向に分布していることがわかった.原因を探るため,Limoges(フランス)に渡航して,研究で使用したinhibited coupling型中空コアファイバの発明者である,XLIM研究所/Bath大学のF.Benabid 教授とF.Gerome博士に結果を持ち寄り,議論を行った.本渡航によって,不均一性の原因が,ファイバの高次モードとの干渉から生じている可能性が指摘され,その後実際にBenabid 教授,Gerome博士の計算によるシミュレーションと本研究結果が一致することが示された.また,冷却原子を用いて空間分解分光を中空コアファイバの中で行う本手法は,中空コアファイバの均一性評価に対して新規的な手法であり,中空ファイバの均一性の性能評価に有効であることを示した.上記観点から,概ね順調に進展しているといえる.一方で光導波路の不均一の原因については特定できていないため,今後の課題として解決が望まれる.

Strategy for Future Research Activity

上記の実験結果の問題点の洗い出しを行い,(1)光導波路中の原子における原子干渉計の構築、(2)中空コアファイバの最適化実験を切り分けることが重要であるとの結論を得た.(1)の実験を先に進めるため,自由空間中の光導波路中で原子干渉計の開発装置を実現することを目指し,新たな真空装置の設計に着手している.本実験装置では,従来よりも長距離の光導波路を光共振器を用いることで形成し,原子を連続的に導入することを目指している.本研究の設計は,理化学研究所内におけるシンポジウム『第6回光量子工学研究』にて,第3著者としてポスター発表されている.また,本実験装置の設計は,昨年度中に終了し,本年度の5月から受入研究室にて立ち上げを始める予定である.立ち上げた実験装置によって原子干渉計を実現させることで,魔法波長光導波路が原子干渉計へも適用可能であることを示すことが本研究の大きな目標になる.
(2)における中空コアファイバの最適化実験については,まずは,光双極子ポテンシャルの不均一性の原因を特定させることが重要である.そのために,継続した議論をファイバの開発者であるBenabid教授と行なっていく.当初用いていたインヒビティッドカップリングファイバの他にも,フォトニック結晶ファイバや,その他のクラッドデザインの中空コアファイバについても検討を進めるため,議論を行なっていく.

  • Research Products

    (3 results)

All 2018

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 中空コアファイバ中での1S0-3P0時計遷移の空間分解分光2018

    • Author(s)
      高橋忠宏,高本将男,香取秀俊
    • Organizer
      日本物理学会2018年秋季大会,同志社大学,2018年9月
  • [Presentation] Design of a continuously operated optical lattice clock with novel cooling schemes’2018

    • Author(s)
      A. Hinton, S. Miura, T.Takahashi, M. Takamoto, H. Katori
    • Organizer
      理化学研究所シンポジウム 第6回「光量子工学研究」
  • [Presentation] Atom interferometry with the Sr optical clock transition inside an optical guide2018

    • Author(s)
      Tadahiro Takahashi
    • Organizer
      招待セミナー University of Florence / Firenze European Laboratory for Non-Linear Spectroscopy(LENS)

URL: 

Published: 2019-12-27  

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