2018 Fiscal Year Annual Research Report
アンテナ指向性を考慮した逆散乱解析法によるRC床版内部の損傷の三次元マッピング
Project/Area Number |
18J22035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 貴浩 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 地中レーダ / 地中埋設管 / 深層学習 / 3D-CNN / SVM / FDTD法 / 自動検知 / 地下空洞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,橋梁床版内部の損傷を対象として,地中レーダ画像から三次元逆解析手法により損傷形状を復元し,パターン認識に基づく自動判定アルゴリズムにより検出,橋梁全体の損傷程度を評価するシステムを構築することを目的とする.このうち,自動判定アルゴリズムの構築,検証データ作成のためのFDTD法の適用性について基礎的な検討を行った.また,研究発表について,IEEE Transactions on Geoscience and Remote SensingやIABSE(International Association for Bridge and Structural Engineering)などの多数の国際論文誌,国際学会で発表することができた. レーダ画像から自動検出アルゴリズムにより異常個所を抽出する際,ジョイントなどの金属製の道路構造物は電磁波が透過しないため,偽信号である多重反射を引き起こし,異常個所として判定される恐れがある.そこで表面反射を用いて,SVMによりジョイント・マンホールとその他の領域の3クラスの画像分類を行うアルゴリズムを構築した.ジョイント・マンホールと判定された箇所を除いた領域で,地中埋設管を例に,二次元及び三次元のCNN(Convolutional Neural Network)を適用し異常検知の検出を行った.三次元形状を考慮することで画像の分類精度が向上することができ,3クラス分類により埋設管の有無と方向を同時に推定可能であることが分かった.地中レーダ計測環境における基本的な電磁気特性を理解するため,FDTD法を用いた電磁界シミュレーションを行った.地中レーダに特化したソフトウェアであるgprMaxを用いて,送受信アンテナ,アスファルト舗装および床版内空洞や地中埋設管・空洞を再現したモデルを構築し,整合的な反射パターンが得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に照らして,自動判定アルゴリズムの構築,FDTD法の適用性について当初の予定通り検討を行うことができた.自動判定アルゴリズムについては,深層学習モデルを用いることで,現実的な学習時間で高精度な判定アルゴリズムを構築できることが分かった.また,今後の解析で必要な多数の実測データを収集することができた.研究発表についても多数の国際論文誌,国際学会で発表することができた. 一方で,上記のアルゴリズムの検討を重点的に行ったため,当初の計画にあった三次元逆解析手法については詳細な検討はできなかった.今後逆解析手法について理論的な検討を行いたい.全体では,計画内容について,良好な研究結果が得られており,おおむね順調に推移していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
二次元及び三次元のCNN(Convolutional Neural Network)による異常検知においては,今後は埋設管だけでなく床版内の損傷に対しても対象を広げて同様の考察を行う必要がある.基本的なネットワークモデルの構成や性質については共通していることが予想されるものの,床版内空洞などの異常はデータ数が少なく,電磁界シミュレーションによる学習データの作成が必要になると考えられる. FDTD法を用いた電磁界シミュレーションでは,三次元に拡張したうえで,より詳細な送受信アンテナや床版の形状を考慮したモデルの高度化を行う.一方で,三次元のFDTD法については,特に学習データの作成において計算コストが膨大になるため,二次元の近似モデルでの高度化も同時に行い,精度を詳細モデルと比較する. 三次元逆解析手法については,時間の都合で特に詳細な検討は行ってこなかったが,既往の逆解析手法やマイグレーションプログラムが存在するため,各種実測・シミュレーションデータに適用し妥当性を検証する.逆解析後のデータに自動判定アルゴリズムを適用することにより,検出精度の向上を行う.
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