2018 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative modelling of piezoelectric high-power characteristics
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18J22170
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 奏 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 圧電材料 / 強力超音波 / 非線形振動 / 温度依存性 / 高次弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、医療用超音波デバイスや超音波探傷用探触子のような強力超音波デバイスにおいて、大振幅励振においても高性能な入出力特性を維持可能な圧電デバイスの開発と、強力超音波応用分野における環境に配慮した非鉛系圧電材料の実用化を目指し、圧電材料のハイパワー特性の定量的評価方法の考案を目的としている。 本年度は圧電デバイスで広く用いられる圧電縦効果振動(分極方向と平行な方向の圧電振動)について、高次弾性を考慮したハイパワー特性のモデル化を行った。圧電横効果の場合では、分極方向が振動方向と垂直であるため電界が一様であり、LCR等価回路を用いたモデルを用いることができるが、圧電縦効果の場合では、圧電体自身の歪みによって反電界が生じ電界が一様でなくなるため、伝達マトリックスを用いたモデル化を行った。 さらに、考案したモデルを用いてチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3[PZT])振動子を用いた高次弾性定数の測定を行い、圧電横効果と同様にハード系材料では高次弾性定数の絶対値が低く、非線形振動が抑えられることを明らかにした。 また、ハイパワー特性に優れた非鉛圧電材料を用いて、積層型圧電素子の圧電縦効果振動と弾性フィンを利用した回転型の超音波モータの設計・試作を行った。積層型圧電素子にたわみ方向の力がかからないように、縦振動を弾性フィンによって回転力に変換し、それによってロータを回転させている。今後はこの超音波モータを用いて、材料特性だけでなく、実際のデバイスとしてのハイパワー特性を評価していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧電縦効果の非線形特性評価を行い、環境に配慮した非鉛圧電材料を用いた超音波モータの設計を完了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
縦振動を対象とした3次弾性定数と伝達マトリックスを用いた圧電非線形モデルを拡張することで、たわみ・ねじり振動に対応したモデル化を行い、さらに非線形有限要素法として確立することを目指す。これにより、実際の超音波デバイスで生じうる3次元の複雑なモード形状についても実特性に近い水準の計算ができ、高性能なデバイスの設計に期待が持てる。 またこれと同時に、鉛系圧電材料の代替候補となる非線形特性・温度特性に優れた非鉛圧電材料を用いて超音波モータを試作し、実駆動特性の評価を行う。さらに得られた特性を材料開発プロセスに還元し、よりハイパワー特性の優れた圧電材料の開発を行っていく。これにより、強力超音波分野での非鉛圧電材料の実用化を目指す。
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