2018 Fiscal Year Annual Research Report
Direct N-glycofunctionalization of amides with glycosyl trichloroacetimidate by thiourea/halogen bond donor co-catakyst
Project/Area Number |
18J22261
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中辻 雄哉 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ハロゲン化イミダゾリウム塩 / グリカール / 溶媒和 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、私は新規酸触媒を用いた新規グリコシル化反応の開発に取り組んだ。その内容としてはまず、グリカールに対してアミド基を直接作用させることで、直接的にアミドの2-デオキシグリコシル体を得ることであった。アミド基は元来グリコシル化に対して反応性が乏しいことが報告されており、その理由は求核性の低さが主にあげられていた。しかしながら今回私は検討の結果アミドが酸触媒を阻害する作用を持つことが、一般的に酸触媒を用いるグリコシル化反応を適応する際に困難となる主要因であることを突き止めこれを解決するため研究に取り組んだ。 アミドによる酸触媒の阻害を溶媒和のようなとらえ方をすれば、溶媒和を受けにくい酸触媒の開発がこの研究にはと必要とされるであろうと考え、塩を酸触媒として用いることを考えた。検討の結果、私が新規に開発したハロゲン化イミダゾリウム塩がこの反応に最適であることを見出した。ハロゲンとそのイミダゾール骨格が非常に重要であることがコントロール実験からも示唆された。 結果として、これまでに報告例がまったくなかった反応の開発に成功し重要な基質となるアスパラギンやジペプチド、トリペプチドを直接的にグリカールに求核不可させることに成功した。 反応機構解析としてH-DOSY測定を行い、最適触媒がほかの酸触媒と比べてアミドと相互作用しにくいことが分かった。このことはこれまでまったく注目されてこなかったことであり酸性度よりも基質との相互作用の弱さがより重要になる可能性、場合があることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリカールへのアミド基の直接的求核付加反応はこれまでにまったく報告されていなかったため、ちがったアプローチで取り組む必要性があった。これは非常に難易度が高く、収率を上げるのに非常に多くの時間と実験を要した。しかしながら、発想を転換し、冷静に状況を分析し、戦略を練ることで実験をたくさんするだけでは気づけないことに気付けたように思う。実際、予想外な結果ではあったが、予想外の結果に出会えたこと自体が幸運であるし考察の大事さというものを改めて感じたように思う。この研究はペプチドを目的の基質として設定していたので、最適条件がこれらの基質にもスムーズに適応できたこと幸運というほかない。 さらに、ペプチドは単純なアミド基と比べても溶媒和の能力が高くこのコンセプトがより必要とされるのではないかと考えているし、それがこの研究の価値をより一層大きなものにしているとも感じられる。 考えるだけではたどり着けないのもそのとおりであって、実験の数というのもまた重要な要因である。うまくいかない時期でもじっと実験を続けられたことがこの結果につながったように思う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては、引き続き基質適応範囲の拡大に取り組みたいと考えている。アミドのグリコシル化体は天然にも非常によく見られる構造で、タンパク質がグリコシル化されている場合はアスパラギン残基で行われている場合が多い。そのためこの反応は重要性が高いと考えているのだが、グリコシル化されたアスパラギンは実際、2-アセチルアミノ基を持つグルコサミンによってグリコシル化されている。このためグルコサミンを用いたアミドの直接的グリコシル化反応の開発は非常に重要度が高いが同時に難易度も相当に高い。 その理由としては上に書いた溶媒和効果が非常に大きくなることも考えられるが、アミンの保護基の選択が難しい。アセチル基は隣接基関与の後、安定した5員環を形成して反応が終わる。 そのためにほかの保護基を検討する必要がある。しかしこの場合にも問題はあり、C1-C2間でオレフィンを形成してしまうこと反応が終了することがわかっている。これを抑える方法を見つけなければ打つ手がなくなってしまうほど難しいがその重要性の分、非常にやりがいのある研究テーマだと考えている。
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Research Products
(2 results)