2019 Fiscal Year Annual Research Report
神経活動依存的なWgシグナルによる局所的なシナプス可塑性の制御
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18J22499
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川村 ひなた 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | シナプス可塑性 / ショウジョウバエ / wg / エンドサイトーシス / 神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ショウジョウバエ視覚系におけるWgのエンドサイトーシスの分子機構を解明するために大きく分けて2つの実験を行なった。 一つ目は神経が発火してからWgのエンドサイトーシスが起きるまでに必要な分子の同定に関する実験である。ショウジョウバエの視神経細胞は光を受けるとカルシウムイオンの流入が起こることによって神経発火が誘導される。このとき、細胞外に存在するWgをエンドサイトーシスによって細胞内に取り込みWgの蓄積が起きることをこれまでの研究で発見した。そこで、カルシウムイオンに結合するタンパク質に注目し、それらの遺伝子ひとつずつRNAiによってノックダウンし、Wgの蓄積に対する影響を見ていくことによって、Wgのエンドサイトーシスの分子機構の解明に努めた。その結果、Wgの蓄積が大きく減少した系統が5系統、大きく上昇した系統が19系統、見つかった。大きく減少した系統5系統のうち3系統がカルモジュリン関連遺伝子であった。これらカルモジュリン関連遺伝子から下流の候補遺伝子をピックアップしスクリーニングを行なったところ、いくつかのカルシニューリンのノックダウン個体でWgの蓄積が大きく減少した。これらの結果から、カルモジュリン依存的なカルシニューリンがWgのエンドサイトーシスを制御していることが示唆された。 また、昨年に続き、シナプス数とWgの蓄積の有無に一細胞レベルで相関関係があるのかどうかさらなる解析を進めた。そうしたところ、Wgの蓄積が起こってから活性帯数が減少していくことを発見した。これは、Wgのエンドサイトーシスと活性帯数の変化が厳密に関わっていることを示している。現在、ここまでの結果をまとめ、論文の執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
非常に進んだ部分と同時に、予想外の発見で少し違った方向に軌道修正を図らなければならない事があった。しかし、おおむね順調に進んでおり、特に神経活動依存的なタンパク質の局在の変化を制御する分子メカニズムを審らかにしようと新たなタンパク質の神経細胞内局在にも着目し、同時に研究を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、これまでの研究結果を論文にまとめ、投稿することを第一とする。その際におそらく必要となるリバイスの実験を迅速に行ない、年内のパブリッシュを目指す。また、本実験を進めていく過程において、シナプス形成に必要な遺伝子を複数発見したので、そちらの解析も進め、年内の投稿を目指す。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Cell surface molecule, Klingon, mediates the refinement of synaptic specificity in the Drosophila visual system2019
Author(s)
Mai Shimozono, Jiro Osaka, Yuya Kato, Tomohiro Araki, Hinata Kawamura, Hiroki Takechi, Satoko Hakeda‐Suzuki, Takashi Suzuki
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Journal Title
Genes to Cells
Volume: 24
Pages: 496, 510
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research