2019 Fiscal Year Annual Research Report
金属硫化物を用いたZスキーム型光触媒による水からの水素製造および二酸化炭素資源化
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18J22528
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉野 隼矢 東京理科大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 光触媒 / 水分解 / 二酸化炭素還元 / Zスキーム系 / 可視光 / フラックス合成 / 固溶化 / 塩添加 |
Outline of Annual Research Achievements |
(CuGaS2)-(ZnS)金属硫化物固溶体を水および二酸化炭素還元用光触媒に用いて,RGO-(CoOx/BiVO4)酸素生成光触媒と組み合わせたZスキーム型光触媒系は,可視光照射下において水分解および水を電子源とした二酸化炭素還元に活性を示す.本年度では,(CuGaS2)-(ZnS)金属硫化物固溶体のフラックス合成条件を詳細に検討し,得られた(CuGaS2)-(ZnS)とRGO-(CoOx/BiVO4)を組み合わせたZスキーム型可視光水分解を行った.金属硫化物の粒径は合成温度に依存し,高温では数マイクロmの粒子が,低温では数百nmの金属硫化物微粒子が得られた.そして,この金属硫化物微粒子を本Zスキーム系に適用したとき高い水分解活性が得られた.そこで,純水に二酸化炭素を溶解させて,先のように高性能化したZスキーム系による水を電子源とした可視光二酸化炭素還元を試みたところ,水の酸化に由来する酸素の生成をともないながら二酸化炭素還元生成物である一酸化炭素が生成した.本系による二酸化炭素還元のさらなる高活性化のために,反応溶液への種々の塩添加も行った.酸性を示す塩および中性を示す塩を添加しても二酸化炭素還元活性は向上しなかった.一方で,塩基性を示す塩を反応溶液へ少量添加することで一酸化炭素生成活性が向上した.特別な助触媒や錯体触媒を担持していない金属硫化物を用いているににもかかわらず10-20%の選択率で一酸化炭素を生成したことは特筆に値する. 金属酸化物光触媒であるSrTiO3:Rh光触媒を還元用光触媒に用いたZスキーム系による二酸化炭素還元も試みた.その結果,AgやAu助触媒を担持したSrTiO3:RhおよびBiVO4を組み合わせたZスキーム型光触媒は可視光照射下において水の酸化による酸素の生成をともないながら二酸化炭素を還元し一酸化炭素を生成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属硫化物のフラックス合成条件および二酸化炭素還元の反応溶液条件を制御することで,本Zスキーム型光触媒による水分解および二酸化炭素還元の高性能化に成功し進展がみられた.
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Strategy for Future Research Activity |
長波長の光に応答する金属硫化物の適用は重要な課題である.そこで,本年度で得られた金属硫化物のフラックス合成に対する知見をもとに,高効率に駆動しかつ長波長の光を利用できる金属硫化物を開発し本Zスキーム系へ展開する. 本Zスキーム型光触媒による二酸化炭素還元能は反応溶液の条件に大きく依存する.そこで,気相流通系および液相流通系を用いて二酸化炭素還元を行う.そして,本Zスキーム系による二酸化炭素還元に対する反応溶液の温度などの依存性を調査する.
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