2019 Fiscal Year Annual Research Report
コンパクトシティ計画策定支援システム開発とその活用によるデザインガイドライン作成
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18J22536
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田村 将太 広島大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | コンパクトシティ / 計画支援システム / 人口分布 / 将来都市構造 / 都市類型化 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に、以下の2つについて研究を行った。 ①人口分布形態指標に基づく同規模人口都市の類型化 都市の類型化別取り組み方針の作成を目的に、前年度実施した都市構造評価指標による都市の類型化では、同程度の人口規模の都市間指標比較による課題抽出に一定程度妥当性があることが示された一方で、同規模人口都市であっても別の類型に分類される都市もみられた。都市構造評価指標が人口分布に影響される項目が多く、実際の人口分布状況等を考慮する必要性が示唆されたことから、本年度は人口分布形態指標に基づく同規模人口都市の類型化を行い、類型化ごとに都市構造評価指標値の比較を行った。その結果、同規模人口都市でも人口分布形態が異なれば、評価に大きな差がみられた。そのため、「都市構造の評価に関するハンドブック」で推奨されている同規模都市の平均値との比較だけでなく、人口分布形態も類似した都市との比較を行う必要があることが示された。 ②生活利便性評価モデルの作成 昨年度行った都市構造評価モデルの生活利便性指標には民間生活利便施設の評価が不十分であると考えられることから、本年度は生活利便性評価モデルの作成を行った。具体的には、人口分布データと各生活利便施設の立地分布データを用いて、人口密度と各施設の立地との関連分析を行い、立地確率評価モデルを作成した。その結果、全29施設のうち25施設において人口密度と立地確率の間に比較的高い関連性がみられたことから、1kmメッシュ内人口密度によって各施設の立地可能性について概ね説明できることが示唆された。また、10~20 人/ha 程度で立地しやすい施設(飲食店や食料品店など5 施設)、20~60 人/ha 程度で立地しやすい施設(福祉施設や郵便局など12 施設)、60 人/ha 以上であれば立地しやすい施設(小学校や病院など5 施設)の3 種類に分類できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年度(平成30年度)行った都市構造評価指標による都市の類型化において、都市の課題把握を目的とした都市の類型化には人口分布などを考慮する必要性が示されたため、昨年度(令和元年度)は人口分布形態指標を考慮した同規模人口都市の類型化を行った。これにより研究計画書で示した「都市特性指標による都市の類型化」を予定通り実施することができた。また、前年度の「今後の研究の推進方策」で示した「生活利便性評価モデルの作成」を実施できたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は(1)「計画支援評価モデルに基づくシナリオ作成」および、(2)「コンパクトシティデザインガイドラインの提案」を実施する予定である。 (1)については、昨年度行った人口分布形態指標による同規模人口都市の類型化ごとに対象都市を選定(3都市程度を想定)し、それらの都市を対象に将来人口分布図と都市評価モデル(生活利便性、安全・安心、地域経済、行政運営コスト、エネルギー/低炭素)を用いて、将来の拠点地区やその人口密度を設定し、コンパクトシティの具体像(人口配置シナリオ)を作成する。(2)については、作成したシナリオを再度、都市構造評価モデルを用いて評価することで、人口集約化の効果を把握し、都市類型ごとに都市のコンパクト化の方向性を体系化する。
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