2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18J22547
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤道 宗人 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 粗さ / 視覚記憶 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、fMRIを用いてヒトの質感の視覚記憶メカニズムを解明することである。令和元年度は以下の2つの研究を実施した。 1つ目の研究では視覚的干渉が粗さの視覚記憶を担う神経基盤に与える影響について検討した。参加者は物体の粗さの視覚情報を記憶した。また、視覚的干渉として顔画像をランダムな試行の保持期間中に継時呈示した。保持期間中の脳活動に対してマルチボクセルパターン解析(MVPA)を適用し、視覚的干渉の有無によって関与する脳領域にどのような違いが生じるかを検討した。その結果、視覚的干渉の呈示条件では粗さの視覚的処理に関わる領域(腹側高次視覚野)が、視覚的干渉の非呈示条件では粗さの触覚的処理に関わる領域(2次体性感覚野)が関与することがわかった。この結果から、参加者が視覚的干渉に対して頑健な記憶表象を保持するために、視覚情報から触覚情報も喚起するという方略を用いていた可能性が考えられた。 2つ目の研究では刺激に照射された照明環境の相違に対して頑健な神経基盤を検討した。近年の視覚記憶研究では1次視覚野などの初期視覚野の重要性が指摘されているが、私たちの粗さの視覚記憶研究では初期視覚野の関与を確認できていなかった。この原因として、記憶するサンプル球体と粗さ識別のために呈示されるテスト球体に照射される照明環境が常に異なっていたため、色などの低次の情報が失われていたことが考えられた。この点について検討するために、サンプル球体とテスト球体の照明環境が同一の条件と異なる条件をランダムに設けて実験を行った。MVPAの結果、どちらの条件でも初期視覚野の関与は見られなかったことから、粗さの視覚記憶においては高次の領域が重要になる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は視覚的干渉に対して頑健な粗さの視覚情報を表現する脳領域を解明した成果を国内外の学会で発表した。さらに、新たに初期視覚野の関与について検討した成果を国内の学会で発表した。2つ目の研究では腹側高次視覚野と頭頂間溝の結果についてこれまでとは異なる結果が出ており、今後はこれらの領域の新たな機能を検討できると思われる。そのため「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度のfMRI実験では、新たに2次体性感覚野や初期視覚野の関与について検討した。令和2年度では腹側高次視覚野と頭頂間溝だけではなく、これらの領域も視野に入れて、粗さの視覚記憶の脳内ネットワークを明らかにする。
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Research Products
(7 results)