2019 Fiscal Year Annual Research Report
クラウドソーシングと電波伝搬シミュレーションに基づくWi-Fiデータベース構築
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18J22573
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
天野 辰哉 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | アクセスポイント位置推定 / クラウドセンシング / Wi-Fi |
Outline of Annual Research Achievements |
現在構築済みの都市環境の屋外Wi-Fi電波強度地図の生成手法に加え,屋外Wi-Fiデータベースとクラウドソーシングによるデータ収集基盤を活用した3次元屋内Wi-Fiアクセスポイント(AP)の位置推定技術を構築した.APは一般に屋内に設置されているため,本研究によるWi-Fiデータベースの目的であるAP間干渉回避およびクライアントによるAP選択制御においては,建物内の正確な3次元的AP位置の把握は不可欠である.しかし,屋内においてはGPSにより得られる端末位置が不安定であるため,単純な三角測量などに基づくAP位置推定では基準となる観測位置の取得が困難である.この問題に対して既存のAP位置推定手法およびシステムでは屋内の窓際や建物出入口など日和見的に得られる正確なGPS位置情報や,端末の慣性センサを利用したトラッキング,クラウドセンシング協力者による手動入力による位置情報を用いることで屋内の観測位置を取得しているが,これらは端末リソースや労働力の面で協力者の負担が非常に大きく,屋内の情報も含めたWi-Fiデータベースを大規模に展開する際には適していない.今回確立した新たな手法では,2018年度までに構築した屋外でのWi-Fiビーコン観測データと都市3次元モデルを基に推定する建物壁面上の仮想AP位置を位置基準(アンカー)として利用することで,屋内の観測位置に一切依存しない,バックグランドで収集可能なデータのみに基づく屋内AP位置推定を実現している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目までの計画における項目(1)Wi-Fiビッグデータの拡張および(2)AP選択制御補助技術の開発について,おおむね順調に進展しており,また本年度の研究実施計画として3次元の屋内AP位置推定手法の確立も順調に進展した.大学キャンパスや大阪市内のオフィスビルを中心に様々な環境下での屋内AP位置推定の精度の検証を行い,今回確立した手法が既存の手法に対して高い精度でAP位置を推定可能であることを確認している.今回確立した3次元屋内AP位置推定手法は既存のAP位置推定手法やシステムとは異なり,クラウドセンシング協力者の負担の削減に焦点を当てている.これによりクラウドセンシングによるWi-Fi観測データ収集時の協力者の負担を大幅に削減でき,研究計画に沿った複数都市でのデータベース構築を効率的に進めることが可能となる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,これまでに構築した大阪市内内全域および東京都23区におけるWi-Fiデータベースと3次元の屋内AP位置を用いたAP選択アシストアプリケーションの高精度化を行う.これらを通じて,屋内外においてスマートフォンなどのWi-Fiクライアントの最悪時スループットが50%程度向上可能であることを大規模なデータセットを用いて検証するとともに,既存のAP変更を加えることのないWi-Fiクライアント側のアプリケーションレベルでの干渉回避技術を実環境において展開することによりWi-Fiの過密問題緩和に貢献する.さらにVR(Virtual Reality)やAR(Augumented Reality)を用いたAPの位置やWi-Fi推定混雑度の可視化システムを通して都市部のWi-Fiビッグデータを「見える化」し,他のシステムでのビッグデータ活用を促進する.
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