2018 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ質量分光に向けた高次QED過程制御方法の研究
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18J22641
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡井 晃一 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | コヒーレンス / 原子物理 / ニュートリノ / 高次QED過程 / 素粒子実験 / 量子エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
Xe原子励起用光源を開発した。Xe原子の第一励起状態は約40 msという長い寿命を持っており、準安定状態といえる。そのような準安定状態のXe原子を高効率で生成するためには高強度かつ狭線幅なパルスレーザーが必要であるため、基底状態と準安定状態間のエネルギー差の半分に相当する298 nmのパルスレーザーを製作した。 Xe原子準安定状態への励起の確認および励起数絶対値の測定のために、イオン化電子測定と蛍光観測を行う必要があった。そのため、イオン化電子測定のためにワイアーチャンバーを、蛍光観測のためにプローブレーザーとPMTを使ったポンププローブ型の蛍光観測装置を製作した。 蛍光観測のためにプローブ光として823nmの狭線幅半導体レーザーを製作した。298nmパルス光によって生成した準安定状態Xe原子にプローブ光を照射し、一旦上の準位に励起した後に第二励起状態に脱励起する際の波長895nm蛍光の光子数をPMTによりカウントした。S/N比を向上させるためにPMT信号波形を整形するパルスシェイパーを製作した。 開発した励起光源と検出器を用いて、Xe原子を準安定状態に励起したことを確認し、励起数の絶対値の測定を行った。励起を試みた当初は、レーザー電場によるシュタルクシフトやXeガス圧による圧力広がりなどの不定性が存在していたため、準安定状態への励起が確実に達成できたことを確認することが難しかった。そこで高感度のワイアーチェンバーを用いて、レーザー強度を弱め、ガス圧を低くするなど不定性を排除した条件での298nm2光子励起を試み、成功した。しかし、アバランシェ増幅を伴うイオン化電子観測では、励起数絶対値を推定することが難しかった。その後、励起数絶対値の確認のためより信頼性の高い手法であるプローブ光を用いた蛍光観測を行い、励起数絶対値を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究申請時から採択に至るまでの期間中と1年目の目標は以下の通りであった: ① 励起光源開発(申請時点から採用までの期間) ② イオン化電子測定,蛍光観測のための検出器開発 ③ 2光子共鳴励起観測と励起絶対値の測定 目標①, ②については達成した。目標③についても概ね達成したが、2光子共鳴励起絶対値の測定値の精度はオーダー程度であるため、今後改善の余地がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験の信頼性の評価としてXe原子の2光子共鳴励起絶対値の測定値と理論計算結果を突き合わせて矛盾がないことを確認する。その後、準安定状態にあるXe原子にトリガー光355nmを照射し、マクロコヒーレント増幅により2光子放出過程を誘起し観測する。増幅率から原子コヒーレンスを見積もり、3光子放出過程増幅に必要な実験構成をデザインする。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] ニュートリノ質量分光に向けたXe原子の多光子励起2019
Author(s)
佐藤帯子, 増田孝彦, 今村慧, 岡井晃一, 平木貴宏, 原秀明, 宮本祐樹, 笹尾登, 田代基慶, 植竹智, 吉見彰洋, 吉村浩司, 吉村太彦
Organizer
日本物理学会 第74回年次大会
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