2019 Fiscal Year Annual Research Report
Λ(1405)粒子の内部構造解明による反K中間子と核子の束縛エネルギーの確定
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18J22644
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 憲 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ハドロン物理学 / ハドロン光生成反応 / RPC / Λ(1405) / KbarN束縛エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はΛ(1405)粒子の内部構造を解明し、ひいては反K中間子と核子の束縛エネルギーを不定性なく決定することである。SPring-8/LEPS2ビームラインにおいて、高輝度高偏極度を有するγ線ビームを用いた光生成反応の測定からこれの実現を目指す。2019年度は本研究の要となるLEPS2ソレノイドスペクトロメータとデータの解析コードの開発を進めた。 粒子識別に必要な飛行時間検出器 Barrel Resistive Plate Chamber (BRPC) の開発した。BRPCの大量生産を行い、ビームテストより品質チェックを行った。要求性能を満たしたBRPCをソレノイドスペクトロメータにインストールした。またBRPC周りの回路を整備した。 飛跡検出器の Time Projection Chamber (TPC) のボード読み出し速度を改善した。これによりデータ収集速度が向上した。磁場の無い状態でBRPCのヒット位置とTPCから再構築した飛跡との相関を確認した。粒子識別能のチェックのため磁場中のデータも取得した。このデータは現在解析を進めている。また、もう一つの飛跡検出器である Drift Chamber (DC) のガス経路を変更することで、より純度の高いガスの供給を可能にした。これに伴う印加電圧の最適化の結果、先行研究より高い分解能を実現できるようになった。今後はその他のパラメタの調整を行い、さらなる改善を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標であった飛行時間検出器と飛跡検出器を同時にオペレートしてビームテストを行った。ただし、2019年12月にソレノイド磁石の冷水機のポンプが経年劣化のため磁場をかけることができなかったために、粒子識別と運動量の測定精度の確認がまだできていない。現在ポンプの修繕は済んでおり、2020年4月に磁場中でのテストを行なった。現在その解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
開発し作成したBRPC を TPC とともに動かし、実際に粒子識別の性能評価を行う。得られたデータを解析し、バグを取り除いていく。また、DRS4QDCなどの読み出し回路系の整備を夏までに進める。コロナウィルスの影響により夏までに ビームテストができるか未定であるが、可能ならば、検出器の校正などを進めていく。不可能な場合は4月はじめに得たデータを用いて、解析コードの開発を進めていく。また、Geant4 を用いたシミュレーションコードの整備を行う予定である。 秋には炭素標的にビームを入射する実験を開始する。そこではTPC, BRPC, Drift chamber, AC Barrel Gamma Detector, Forward RPCを同時に 動かし、物理データを取得していくとともに、解析を進める。この結果は2020年の春に開催される日本物理学会で発表することを予定している・
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