2018 Fiscal Year Annual Research Report
高選択的[2+2+2]付加環化反応を鍵とする多官能性環状π共役分子の合成
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18J22645
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西垣 柊平 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ロジウム / [2+2+2]付加環化反応 / アルキン / シクロパラフェニレン / ベルト / メビウス / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では主として、カチオン性ロジウム触媒を用いた高選択的[2+2+2]付加環化反応によるベルト状およびメビウス状シクロパラフェニレン(CPP)の合成を目的とし、検討を行った。 (1) [2+2+2]付加環化反応を鍵とするベルト状[8]CPPの合成 上記(1)において、ヒドロキノン型ジインとモノインとのエーテル化反応により大環状ポリインの合成を行い、偶数個のトリインユニットを有する大環状ポリインに対して[2+2+2]付加環化反応の検討を行った。その結果、大環状ドデカインに対してカチオン性ロジウム(I)/BIPHEP錯体触媒を作用させることでベルト状[8]CPPを良好な収率で合成することに成功した。 (2) エナンチオ選択的[2+2+2]付加環化反応を鍵とするメビウス状[10]CPPの合成 上記(2)において、奇数個のトリインユニットを有する大環状ポリインに対して[2+2+2]付加環化反応の検討を行った。その結果、大環状ペンタデカインに対してカチオン性ロジウム(I)/BINAP錯体触媒を作用させることでメビウス状[10]CPPを良好な収率およびエナンチオ選択性で得ることに成功した。また、上記(1)、(2)において、得られたCPPに対して単結晶X線構造解析、光学/キロプティカル特性の測定、量子化学計算を行うことで、物性の解明を行った。 以上の研究において、カチオン性ロジウム(I)/ビスホスフィン系錯体触媒の優れた特性および熱力学的に大きく有利な[2+2+2]付加環化反応を最大限に活かすことにより、従来の方法では合成不可能であった新奇π共役分子の合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目的の化合物の合成に成功し、当該分野において大きな研究の進展があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回開発した合成手法の適用範囲を拡大するべく、異なるデザインの環状ポリインを合成し、ジグザグ型カーボンナノチューブの部分構造を有するベルト状分子の合成に取り組む。 また、当初の計画にはないが、カチオン性ロジウム触媒による選択的[2+1+2+1]付加環化反応の開発を行う。さらに、開発した[2+1+2+1]付加環化反応を用いてベンゾシクラセンの合成に取り組む。 また、得られたベルト状分子の化学/結晶構造および物性解明を行う。
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Research Products
(7 results)