2018 Fiscal Year Annual Research Report
Membranome 治療法を志向したPro-Drug ベシクルの開発
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18J22897
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
韓 瑾 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | Drug Delivery System / Self-assembly / Pro-drug / pH-responsive |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤分子が標的受容体に到達する前に,様々な“障壁”を乗り越えなければならない。標的送達の実現と副作用の軽減を目標とした,薬剤送達システム(DDS)が必要である.その解決策として,両親媒性プロドラッグの自己集合体を担体として活用する自己集合薬剤送達システム(Self-Assembly DDS (SADDS))が開発されてきた.従来ではカプセルを形成させるためにポリマーなどの担体を必要としていたがSADDSでは薬剤分子そのものが担体を形成するため,担体の毒性や副作用を軽減させることが可能である。しかし,“Prodrugの自己集合体構造の形態,物理的な特性は集合体の安定性,細胞内への内在化効率および薬物放出に対して著しい影響を及ぼす。そのため,Structure-Activityの関連性を解明することはProdrug Self-assembly Systemの合理的なデザインにも重要な意義がある。自己集合体のStructure-Activityの関連性を解明するため,まずMolecule-Structureへの取り組みも欠かせない。本研究で,Oxaprozinをモデル分子として,pH環境により脂肪酸の集合体が変化することから発想を得て,カルボキシル基を持つ両親媒性 Oxaprozin Pro-Drugの分子設計により,様々な自己集合構造を取得することができた。特に,pH環境およびPro-drug濃度がDDSとしての自己集合体に与える影響を明らかにした。この結果は生体内における異なる環境下での薬剤分子輸送の制御の実現を示唆するものである。このように脂肪酸の特性を活かしたプロドラッグの設計は,controllable自己集合体をデザインするための新たなアプローチ法として有望であり,ドラッグデリバリーシステムにおける定量的な構造制御が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬剤分子を標的受容体に到達させるためには,様々な“障壁”を乗り越えなければならない.そのために,“Prodrug”の自己集合体構造の形態を制御し,集合体の物理化学的な特性をパラメータ化し,集合体の安定性,細胞内への内在化効率および薬物放出に対して詳しく検討する必要がある.まず,StructureとActivity関連性を解明を目指し,Prodrug Self-assembly Systemの合理的なデザインについて研究を進めた.本研究では,pH環境により脂肪酸の集合挙動が変化する性質から発想を得て,カルボキシル基を持つ両親媒性Prodrug分子設計を行った.pH環境およびProdrug濃度を制御する事で,様々な自己集合構造を得る事ができた.さらに次年度へ先駆けて,集合挙動を制御したProdrug集合体の薬理活性に関する細胞実験を開始しつつある.自己集合体のStructure-Activity相関性を解明するためには,Molecule-Structureの視点は欠かせない.脂肪酸の特性を活かしたProdrug設計には新規性があり,controllable自己集合体をデザインするための新たなアプローチとして提案し,Prodrug分子構造のデザインから,Structure/Activityを設計するための新しい戦略への発展として期待できる.既報の総括(Review)ならびに本成果に関する論文(Research Article)投稿するための準備を行っている.以上より,期待通りの進展がみられたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今までの結果を基づいて,Oxa-lipid prodrugの分子デザインにより,ミセルとファイバーの構造が形成できた.その上、headgroupをlysineで修飾して、ベシクルの集合体構造の形成も工夫してる。つづけて,OxaprozinはRAW細胞のCOX経路を遮断し,抗炎症効果を発揮する.設計したPro-Drug集合体各種を細胞系に添加し,その薬理活性と細胞への毒性を評価する. 薬理活性に関しては、薬物放出と薬物取り込み効率は,治療効果を評価する上で重要な2つの要因である.ここでは,疎水化により分子あたりの薬効(drug activity/molecule)を向上させるための分子設計ならびに集合体設計を行う.異なるPro-Drug 集合体におけるin vitroでの薬剤放出効率を,分光学的手法やHPLC分析法を用いて測定する.細胞への薬物内在化のメカニズムについては,FRETによる検討を実施する.また, in vivoでの評価では,Oxaprozin自身の持つ特殊な蛍光特性により,集合体の位置の特定及び追跡が可能であるということを活用する.この蛍光特性はOxaprozinの挙動を追跡し,細胞膜と自己集合体がどのように橋渡しされているかをモニター可能であると予想している. 細胞への毒性評価はMTTアッセイにより評価する。また,今まで,集合体の物理化学的な特性により、細胞死を誘導する効果が報告されている。そこで,Oxa-lipid prodrugのデザインにより,各種構造による細胞死への誘導効果も検討する。以上評価の結果を基づいて、各種集合体の細胞機能への影響を解析する。
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