2019 Fiscal Year Annual Research Report
半導体のドーピングに関する理論および予測手法の構築
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18J22930
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 航 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 第13族窒化物半導体の点欠陥 / スピン軌道相互作用を取り入れたバンド計算 / Zn-Ⅵ族化合物 / Ga-Ⅴ族化合物 / SiC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、第一原理計算により、窒化物、酸化物、リン化物、硫化物といった複数の化合物半導体に対してドーピング限界の算出と不純物の計算を系統的に行 い、ドーピングに対する学理の構築と両極性の伝導キャリアを導入できる最適なドーパントを自動的に提案するシステムの開発を目的とした。本年度における研 究計画では、ドーピング特性に関する実験データが存在する半導体約200種について、キャリア補償の原因である固有点欠陥、水素・酸素不純物と、ドーパント候 補の形成エネルギーを網羅的に計算することが目標であった。これに対し、本年度では計画の一部として、既知の半導体3種に対する系統的な点欠陥の計算を行っ た。具体的には、第13族窒化物半導体の固有点欠陥およびドーパントの形成エネルギーと電子準位を系統的に計算し、本研究の目的であるドーピング特性の学理 構築に向けた考察を進めた。また、半導体材料として代表的なZn-Ⅵ族化合物、Cd-Ⅵ族化合物、Al-Ⅴ族化合物、Ga-Ⅴ族化合物、In-Ⅴ族化合物およびSiCを対象とし、ドーピング機構と並んで半導体材料の特性を 支配するバンド構造と有効質量を系統的に計算した。対象とした系は30種であり、スピン軌道相互作用を取り入れた高精度な計算を系統的に実施することで、統 一された条件下における有効質量値を得ることができた。この計算結果から、ウルツ鉱型の結晶構造を有する系ではスピン軌道相互作用を取り入れることによっ て価電子帯上端におけるバンド構造が変化し、ホールの有効質量が増加することが明らかになった。さらにカチオン元素の質量が大きくなるほど有効質量の増加する程度は小さくなることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書にある研究計画では点欠陥を計算する対象の化合物は200種としたが、電子状態の解析方法や第一原理計算の実施プログラムを高い精度で確立させるために、本年度では点欠陥を計算する対象化合物を既知の半導体3種とした。具体的には、第13族窒化物半導体の固有点欠陥およびドーパントの形成エネルギーと電子準位を系統的に計算し、本研究の目的であるドーピング特性の学理構築に向けた考察を進めた。その結果、第13族窒化物半導体におけるフッ素ドーピングでは、格子間フッ素よりも窒素に置換するフッ素の方が形成エネルギーが高いことが明らかになった。さらにこれと並行して、半導体材料として代表的なZn-Ⅵ族化合物、Ga-Ⅴ族化合物、Al-Ⅴ族化合物、In-Ⅴ族化合物およびSiCを対象とし、ドーピング機構と並んで半導体材料の特性を支配するバンド構造と有効質量を系統的に計算した。統一された条件下で多数の半導体材料の詳細なバンド構造や有効質量を計算した前例は報告されていなかった。その中、スピン軌道相互作用の寄与を取り入れ、30種の化合物について高精度にバンド構造と有効質量を算出した。この成果をまとめた論文を Journal of Applied Physics 誌に投稿した、以上のように、窒化物半導体の点欠陥計算に加え、代表的な半導体材料のバンド構造および有効質量の算出と結果の考察に関して、研究が進捗したことが評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ドーピング特性に関する実験データが存在する半導体約200種について、キャリア補償の原因である固有点欠陥、水素・酸素不純物と、ドーパント候補の形成エネルギーを網羅的に計算する。使用する計算機はスーパーコンピュータや所属研究室の計算機クラスターを用いる。この計算によって得られたデータを解析するために、モデリングからドナー・アクセプター準位の算出までを自動的に処理するプログラムパッケージを開発する。特に、不確定性の強い格子間サイトを特定するための手法の開発を重点的に行う。既存の格子間サイトの探索プログラムでは、水素のように原子半径の小さい元素が取りうる欠陥構造を網羅できないため、本研究では電荷密度の極小値を格子空隙と定義し、その極小値を探索するプログラムを開発する。格子間サイトの探索プログラム以外には、ドーピング限界の上下限値の算出や、ドーピング可否の判定等を自動処理するプログラム群を開発する。最終的に、結晶構造と組成の情報に基づいて、最適なドーパントの選択からドーピング限界の算出までを一括して処理するシステムに統括し、完成後はオープンソースとして産学界に広く公開する。また、得られた成果を国内外の学会やシンポジウムにおいて報告する。
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Research Products
(4 results)