2018 Fiscal Year Annual Research Report
フルカラー蛍光スイッチングを可能とする蛍光性フォトクロミック多成分ナノ粒子の開発
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18J23127
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石田 沙奈恵 熊本大学, 大学院自然科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | フォトクロミズム / 蛍光 / スイッチング / フルカラー / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目ではRGB蛍光性フォトクロミック分子の作製を行い、それぞれをナノ粒子化し混合することによって、フルカラー蛍光スイッチングの可能性について検討した。そのために、まずスイッチングユニットの選定を行った。選定したスイッチング分子と非線形蛍光スイッチング効率が最適化されるようなRGB蛍光ユニットをそれぞれ連結することで、RGBの蛍光色を示す3つの蛍光性フォトクロミック分子の作製に成功した。作製した蛍光性フォトクロミック分子はナノ粒子状態において先の研究と同様に非線形蛍光スイッチング挙動が観測された。そこで、作製した蛍光性フォトクロミック分子をそれぞれナノ粒子化し混ぜ合わせることによって、光の照射条件により波長選択的に蛍光色を変調させることのできる、フルカラー蛍光スイッチングを試みた。しかしながら、同一波長(380 nm)での光励起条件下において、赤色蛍光色素の蛍光強度が青や緑の蛍光色素に比べて著しく小さく、各蛍光色をバランスの良く発色させることが困難であった。この新たな課題に対して、本研究者は分子内に励起光である波長380 nmの光を効率良く吸収するアンテナユニットと赤色蛍光色素を連結させた蛍光性フォトクロミック分子を新たに合成し、アンテナユニットからのエネルギー移動を用いることにより、赤色の蛍光強度の増強を試みた。合成した分子のナノ粒子を波長380 nmの光により励起すると、波長610 nm付近に極大をもつ赤色の蛍光バンドのみが観測された。また、アンテナユニットを持たない分子と比較すると、10倍程度強い蛍光を発することが認められた。このことから、分子内に2つの色素を導入することで効率の良い赤色蛍光のスイッチングが可能であることが明らかとなった。現在、この系を用いたフルカラー蛍光スイッチングの可能性を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本学術振興会特別研究員(DC1)として、蛍光性フォトクロミックナノ粒子の非線形蛍光スイッチング特性を利用することで高コントラストかつ波長選択的なマルチカラー蛍光スイッチングを達成し、最終的にはフルカラーの蛍光スイッチングを実現することを目標に研究に取り組んでいる。 この目標に向けて本年度は、光の三原色となるRGBの蛍光色素に3つの異なるスイッチングユニットを結合させた蛍光性フォトクロミック分子を設計・合成し、それらの分子のナノ粒子を作製することでフルカラー蛍光スイッチングの可能性を検討することを目的とした。その結果、目的とする蛍光スイッチング分子を合成し、その蛍光スイッチング挙動をナノ粒子の状態で評価することに成功している。さらに、その結果からフルカラー蛍光スイッチングを実現する上での新たな課題を明らかにすることもでき、現在、その課題解決に向けた新しい分子の設計・合成を進めている。初年度の段階で、目的に対する課題を遂行し、その解決に向けた新しい取り組みをスタートできていることから、おおむね順調に研究が進展しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の研究において明らかとなった知見を基に、それらのアンテナユニットおよび蛍光ユニットを連結した蛍光スイッチング分子の設計・合成に取り組む。RGBの蛍光色に対応する3つの蛍光スイッチング分子を新たに合成し、それぞれの分子のフォトクロミック特性および蛍光スイッチング特性を溶液およびナノ粒子の状態で評価する。両ユニットを連結することによる吸収および蛍光特性への影響を、各ユニット単独の分子物性と比較することで明らかとする。すべての蛍光スイッチング分子に対して、満足のいく分子物性が溶液およびナノ粒子の両状態において得られた場合、まずはそれぞれの蛍光スイッチング分子のナノ粒子を作製し、それらを混合した多成分試料に対して波長選択的なフルカラー蛍光スイッチングが可能であるかを確認する。この実験により、3つの蛍光スイッチング分子の蛍光特性を選択的に光スイッチングするための最適な光照射条件(波長および光強度)を明らかにする。
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Research Products
(9 results)