2018 Fiscal Year Annual Research Report
ローダミン色素の消光メカニズム解析と蛍光プローブ開発への応用
Project/Area Number |
18J23221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池野 喬之 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / ねじれ型分子内電荷移動状態 / シトクロムP450 / 薬物代謝酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、計算化学を利用した論理的な分子設計に基づく新たな蛍光制御原理の確立(A)、及びそれによって得られた知見を基にした新規蛍光プローブの開発(B)を目的としている。 本年度はまず、計算化学を利用した論理的な分子設計に基づく新たな蛍光制御原理の確立(A)を行った。具体的には、計算化学から得られた知見を基にした分子設計に則ったローダミン色素の誘導体合成を行い、一般的に強蛍光性を示すローダミン色素に対して、キサンテン環上ジアルキルアミノ基のオルト位にかさ高い置換基を導入することで基底状態においてキサンテン環-N原子間結合にねじれを生じさせ、励起状態においてねじれ型分子内電荷移動状態(TICT state)を形成させ無蛍光性化することができることを見出した。また、開発したこれら無蛍光性ローダミン類が、N-脱アルキル化に伴うキサンテン環上アミノ基とオルト位上置換基間の立体反発の緩和により蛍光性を回復できることを見出し、本分子設計によって開発した無蛍光性ローダミン類を基にした新規蛍光制御原理を確立することに成功した。 さらに、上記で確立した蛍光制御原理に基づく新規蛍光プローブの開発(B)にも取り組んだ。種々の検討の結果、薬物代謝酵素であるシトクロムP450によってローダミン類のキサンテン環上アミノ基においてN-脱アルキル化が起こることを見出し、シトクロムP450のN-脱アルキル化反応によって発蛍光性となる蛍光プローブの開発に成功した。また、開発した蛍光プローブについて更なる構造展開を行うことで、シトクロムP450サブタイプの中でもヒトにおいて最も主要なP450分子種であるCYP3A分子種に選択的に代謝され蛍光性となる無蛍光性ローダミンを見出すことにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計算化学を利用した論理的な分子設計に基づく新規無蛍光性ローダミン類の開発、及びそれを利用した新規蛍光制御原理の確立に成功し、初年度の計画を達成した。さらに確立した新規蛍光制御原理に基づいたCYP3AのN-脱アルキル化活性を検出する新規蛍光プローブの開発にも成功しているため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したCYP3A検出蛍光プローブを用いて、ヒト肝初代培養細胞等の生細胞におけるCYP3A活性の蛍光検出を行っていく。また、本年度の検討で得られた新規無蛍光性ローダミンに関する知見、及び確立した蛍光制御原理を用いた更なる蛍光プローブの開発を試みていく予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Synthesis of unsymmetrical Si-rhodamine fluorophores and application to a far-red to near-infrared fluorescence probe for hypoxia2018
Author(s)
Kenjiro Hanaoka, Yu Kagami, Wen Piao, Takuya Myochin, Koji Numasawa, Yugo Kuriki, Takayuki Ikeno, Tasuku Ueno, Toru Komatsu, Takuya Terai, Tetsuo Nagano and Yasuteru Urano
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Journal Title
Chemical Communications
Volume: 54
Pages: 6939-6942
DOI
Peer Reviewed
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