2019 Fiscal Year Annual Research Report
ローダミン色素の消光メカニズム解析と蛍光プローブ開発への応用
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18J23221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池野 喬之 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / 薬物代謝酵素 / CYP3A4 / ヒトiPS細胞由来肝細胞 / ヒトiPS細胞由来小腸上皮細胞 / 薬物間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、計算化学を利用した論理的な分子設計に基づく新規無蛍光性ローダミン類の開発、及びそれに基づくCYP3AのN-脱アルキル活性を検出する新規蛍光プローブの開発に成功している。 そこで本年度は、初年度に開発した蛍光プローブの生物応用について研究を進展させた。まず、開発したプローブを生細胞へと適用することで、HepaRG細胞におけるCYP3A4活性の蛍光検出が可能であることを明らかにし、さらに既存のCYP3A4阻害・誘導薬の添加によるCYP3A4活性の変化を検出することにも成功した。これは、開発した蛍光プローブを用いることで簡便かつハイスループットにCYP3A4に対する化合物の阻害・誘導作用を検出可能であることを示す結果である。また、HepaRG細胞におけるCYP3A4活性の蛍光イメージングにも成功した。蛍光イメージングは、平面培養されたHepaRG細胞においてだけでなく、スフェロイド形成したHepaRG細胞においても可能であった。 さらに、開発した蛍光プローブを用いることで、ヒトiPS細胞から分化誘導することで作製した肝細胞及び小腸上皮細胞のCYP3A4活性を検出することにも成功した。CYP3A4活性は肝・小腸上皮細胞の成熟マーカーの一つであることから、ヒトiPS細胞由来肝・小腸上皮細胞の分化度を簡便にモニタリングできるツールとしての利用が期待される。また、FACSによる検討から、開発したプローブがCYP3A4活性の高い細胞を1細胞レベルで検出可能であることを示唆するデータが得られている。そこでこの性質を利用して、ヒトiPS細胞から分化誘導させた肝及び小腸上皮細胞についてFACSによる成熟細胞の濃縮が可能であるか検討したところ、開発した蛍光プローブを添加してFACSによるソーティングを行うことで、高いCYP3A4活性を有する成熟した肝及び小腸上皮細胞を濃縮することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に開発したCYP3A活性検出蛍光プローブを用いた応用研究を行い、HepaRG細胞におけるCYP3A4活性の蛍光検出が可能であることを示している。さらに、ヒトiPS細胞由来肝細胞・小腸上皮細胞におけるCYP3A4活性の検出にも成功し、FACSを用いた成熟肝・小腸上皮細胞の濃縮といった有用なアプリケーションにも成功していることから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
生物学研究者との共同研究等を推進することで、開発したCYP3A活性検出蛍光プローブの生命科学研究への更なる応用を目指していく予定である。また、分子内ねじれの制御による蛍光変化を利用した新たな蛍光プローブの開発も行っていく予定である。
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Research Products
(10 results)