2018 Fiscal Year Annual Research Report
スマートバイクを用いた網羅的な交通情報収集システム
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18J23281
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河中 祥吾 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 車両検出 / スマートフォン / 自転車 / ゲーミフィケーション / 参加型センシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,自転車利用者の安全経路の推定にむけた道路環境情報の網羅的な収集およびそれらの情報から形成した集合知による安全経路の推定手法の確立を目指している. 網羅的な道路環境情報の収集を行うために,本研究ではユーザ参加型センシングの利用を想定している.そこで,日常的に自転車を利用する一般利用者でもデータ収集へ容易に参加できるよう近年一般的に普及しているスマートフォンを用いた道路環境情報収集を行う. 本年度は,自転車向け経路の安全性に関わる道路環境情報として定義している車線別車両数・車種・車両速度・側方間隔のうち最も重要となる車線別推定に向けてステレオ音源を用いた接近車両手法を提案した.本手法では,自転車に取り付けたスマートフォンの上下に搭載されている2つのマイクから収集されるステレオ音源の到着時間差を利用しており,車両接近時に得られる特徴量から接近車両数の検出を行う. 提案手法の車両検出性能を評価するために,実際に公道でデータ収集を行い解析を行った.その結果,正確度,適合率,再現率,F値はそれぞれ0.83,0.90,0.72,0.80となった.車両検出精度は0.90と高精度で接近車両の数量および方向が検出可能であることが明らかとなった.また,車両速度・車種においても推定可能性が示唆される結果を得ている. 加えて,ユーザ参加型センシングにおいて,ユーザが継続的にデータを収集するインセンティブをどう付与するかが問題となる.そこで,本研究ではユーザに対するインセンティブとしてゲーミフィケーションを導入し,効率的なデータ収集に向けたユーザの行動に与える影響の調査を行なっている. これらの成果を国内会議1本,国際会議1本,国内雑誌への寄稿を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時点から採用までの準備および1年目の計画として,網羅的な道路環境情報収集に向けた基盤作り,道路環境情報推定アルゴリズムの検討および参加型センシングによる複数ユーザからのデータ収集をあげていた. その中で,網羅的な道路環境情報収集に向けた参加型センシングプラットフォームアプリケーションの作成および道路情報推定アルゴリズムの部分的な確立を本年度までに遂行してきた. 参加型センシングにおいて網羅的にデータを収集する上で,収集されるデータの質や量がユーザに依存する.ここで,参加型センシングにおいてどう良質かつ必要なデータを収集するかと言った課題が発生した. ユーザのセンシングへの参加モチベーションを向上させるために,金銭的なインセンティブが考えられるが継続的な運用が難しいため,非金銭的なインセンティブとしてゲーミフィケーションの導入を検討し,参加型センシングプラットフォームへの実装を行った. 新たな課題として参加型センシングにおけるユーザへのインセンティブが課題として上げられたがゲーミフィケーションの検討および実装を行ったことにより,今後効率的なデータ収集が期待できると考えている. これらの成果を国内会議1本,国際会議1本,国内雑誌への寄稿を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
30年度提案した自転車に取り付けたスマートフォンのマイクから収集されるステレオ音源を用いた接近車両検出手法の有用性が明らかとなったため,様々な環境に適用できるようより多くのユーザからより多くのデータを収集する必要がある.そこで,31年度はユーザ参加型センシングにより効率的かつ網羅的に収集することを目指す.しかし,ユーザ参加型センシングにおいて,ユーザのセンシングタスクに対するモチベーションが問題となっている.これまでにユーザに対するインセンティブとしてゲームデザイン要素やゲームの原則を応用したゲーミフィケーションの導入を検討・実装している.31年度においても引き続き,ゲーミフィケーションを用いたユーザ参加型センシングにおいて収集されるセンサデータおよびユーザ行動への影響を明らかにする.また,参加型センシングに基づく走行時安全情報の収集により発生する測定誤差や悪意のあるデータの混入が無視できない問題となる.この問題を解消するため収集されたデータに対して統計的な処理を施すことてで信頼性の高いデータのみを選定する手法についても合わせて検討を始める.これらの研究成果を国内学会や国際会議に投稿し,多研究者との議論を行うとともにアルゴリズムおよびシステムの改良を行う.
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Research Products
(5 results)