2019 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-Cultural Differences in Multisensory Emotion Perception: The Examination from Developmental Perspective
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18J23316
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
河原 美彩子 東京女子大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 多感覚知覚 / 情動 / 感情 / 文化差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,顔と声による多感覚的な情動認知における文化差が,多感覚的な感情の表出様式および知覚様式が文化によって異なることに起因する可能性について検討し,多感覚情動認知の文化差をもたらす要因の一端を明らかにすることをめざすものである。 平成31年度は,まず前年度に引き続き研究1を実施し,顔の表情の物理的な特徴の文化差を検討した。日本人とオランダ人によって,中立感情と基本6感情(怒り,喜び,悲しみ,恐怖,嫌悪,驚き)が網羅的に表現されている既存の刺激データベースに対して,FACSを用いた表情解析を行った。その結果,各表情を構成する顔の動きの種類には大きな文化差はみられなかったが,それらの動きが日本人では単独で生起しやすく,オランダ人では複数の動きが同時に生起する傾向にあることが示唆された。 研究1に用いた表情と音声は,特定の感情を明確に表出したものであり,感情を表出する際に他者の存在が想定されたものではない。そこで,対人場面における感情の表出様式を検討するため,特定の感情を喚起する場面をシナリオとして用意し,その状況において感情を表出した表情と音声を収録して解析する実験(表出実験)を実施した。また,感情の表出様式と知覚様式の関連について個人内で検討できるよう,収録の参加者に対して,顔と声を手がかりとした感情認知課題(知覚実験)も実施した。現在,日本人を対象とした実験を終え,オランダ人を対象とした実験を開始した段階である。 さらに,感情の知覚様式の指標の1つとして眼球運動に着目し,感情判断時に相手の顔に向ける注視パターンに文化差があるか検討する実験を実施した。昨年度は,類似した実験における視線データを解析したが,実験刺激等の問題点が明らかとなったため,平成31年度はその点を改善し,実験を実施した。現在,オランダ人に実験を実施した段階であるため,次年度に日本人に実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルスの影響で実験が中断しているものの,当初の計画通り,シナリオを用いた表出実験と知覚実験,さらに眼球運動実験をすすめている。表出実験と知覚実験に関しては,日本国内での実験を終え,オランダでの実験を開始した。また,眼球運動実験に関しては,以前の実験の問題点を解決し,妥当性の高い実験結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
オランダ人を対象とした,シナリオを用いた表出実験と知覚実験を再開させ,データを収集するとともに,データ解析をおこない,感情表出様式,知覚様式,表出様式と知覚様式の関連の3点において文化差を検討する。また,日本人を対象とした眼球運動実験も再開させ,顔と声を手がかりとした感情判断時に相手の顔に向ける注視パターンにどのような文化差があるか検討する。
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