2019 Fiscal Year Annual Research Report
Visualization and regulation of totipotent fraction in ES cell culture
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18J23399
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
古田 明日香 長浜バイオ大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 全能性細胞 / 着床前胚 / 幹細胞 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ES細胞は、胚盤胞期の将来胚体を形成する内部細胞塊から樹立された細胞であり、胎盤などの胚体外組織への分化能を失った多能性細胞であると信じられてきた。しかし、最近の研究からES細胞には非常に低い割合で内在性のレトロウイルスであるMuERV-Lを発現する細胞集団が存在することが報告された。また、これらの細胞集団は、初期の着床前胚に移植した場合に、内部細胞塊だけではなく、栄養外胚葉にも寄与することから、全能性を有すると結論されている。本研究では、MuERV-L陽性細胞を可視化し、MuERV-L陽性細胞を効率よく誘導する方法を開発すること、またMuRV-L陽性細胞に含まれる真の全能性細胞を同定することを目的として研究を行った。 今年度は解糖系の阻害剤2DG(2- Deoxy-D-glucose)および酸化的リン酸化の阻害剤Rotenoneを用いて、ES細胞からMuERV-L陽性細胞の誘導には、エネルギー代謝経路が解糖系から酸化的リン酸化へと変換されることが重要であることを明らかにした。また、MuERV-L陽性細胞の組織学的特徴を明らかにするために、電子顕微鏡による観察を行った。その結果、ES細胞では電子密度が低く内膜の薄いミトコンドリアが観察されたが、MuERV-L陽性細胞では、電子密度の高く内膜が分厚いミトコンドリアが観察された。一般に、内膜が分厚いミトコンドリアほど活発にエネルギーを産出することが知られているため、MuERV-L陽性細胞では、ミトコンドリアで活発にエネルギーが産生されていることが示唆された。さらに、約4割のMuERV-L陽性細胞では、卵細胞に特異的な構造であるLD (Lipid droplet)を有することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、阻害剤を使って前年度に明らかにしたエネルギー代謝経路の変換の重要性を確認できただけではなく、電子顕微鏡を使った研究からこの結果を増強することができた。また、電子顕微鏡解析では、卵細胞に特異的な構造であるLD (Lipid droplet)が一部のMuERV-L陽性細胞でのみ観察された。このことは、MuERV-L陽性細胞の中にLDを持つ亜集団が存在すること示唆しており、全能性の指標となる可能性を秘めている。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度明らかにした一部のMuERV-L陽性細胞が有するLDは、卵細胞に特異的な構造であり、最近の研究から、着床前初期発生に重要な役割を果たすことが示されている。したがって、LDはES細胞における全能性の指標となる可能性がある。そこで、今後は、LDを有するMuERV-L陽性細胞とLDを持たないMuERV-L陽性細胞の遺伝子発現、分化能について検討する予定である。また、今年度はこれまでの成果を学術論文として発表する予定である。
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Research Products
(3 results)