2018 Fiscal Year Annual Research Report
発達性協調運動障害と自閉症スペクトラム障害における不器用さの特徴とメカニズム解明
Project/Area Number |
18J23420
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
三上 美咲 弘前大学, 保健学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | 発達性協調運動障害 / 発達障害 / 協調運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、協調運動の問題を主症状とする発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder: DCD)や、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum disorder: ASD)を含む発達障害児の協調運動の問題の特徴とそれに影響を及ぼす因子を明らかにすることで協調運動の問題が現れるメカニズムを探り、発達障害ごとの協調運動の問題への適切な介入・支援へと活用させることを目的とする。 5歳児発達健診参加児(117名)を対象にデータ収集、解析を行った。 微細運動の特徴に関して、両上肢を用いる微細運動課題試行中の様子をビデオカメラで撮影し、その後得られた動画から2次元モーションキャプチャー解析を用いて、対象児の手部の動きの速度や加速度の変化、移動量等を算出した。DCD群と定型発達群とで比較した結果、DCD群は手部の動きの平均速度が遅く、また総移動量が多いことが明らかになった。このことから、DCD児の微細運動における特徴として、素早く効率の良い運動の乏しさが存在することが示唆された。 また、運動に影響を及ぼす因子に関しては、筋力や感覚機能、認知機能等を探索的に検討した。握力と体幹屈曲保持時間を計測した結果、DCD児は定型発達児に比べて握力が弱く、背臥位屈曲保持時間が短いこと、またそれらの筋力と協調運動機能評価得点との弱い相関関係が認められた。DCD児の筋力の弱さはすでに報告されているが、幼児期においてすでにDCD児は筋力の弱さを呈することが示唆された。また、保護者への質問紙による感覚特性評価及び対象児への認知機能を行い、協調運動機能評価との重回帰分析を行った結果、多くの感覚機能、認知機能が協調運動機能の一部を予測することが示された。このことから、協調運動課題へ介入する際には、課題遂行に必要な感覚や認知機能についても考慮する必要性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DCD児の協調運動の問題の特徴と、協調運動の問題に影響する因子については、当初の予定以上の進捗があった。一方、ASDを含む他の発達障害については、それぞれが併存する場合が多く、併存する他の発達障害の影響を除外した解析を行うためには、十分なサンプル数が得られなかったことにより、次年度以降データを蓄積したのちに解析を行うこととした。
|
Strategy for Future Research Activity |
データを蓄積し発達障害ごとの解析を行う。特に感覚特性の異常に関しては、ASDや注意欠如多動性障害を持つ子どもにおいても頻繁に認められることが報告されているため、DCD児に特異的な問題や運動機能への影響を明らかにするために、他の発達障害を併存した場合を除外するなど、併存障害の影響を厳密に統制して再度検証する。
|
Research Products
(14 results)