2019 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類の採食適応背景にある味覚・解毒機能の相関進化関係の解明
Project/Area Number |
18J40006
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
橋戸 南美 中部大学, 創発学術院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2023-03-31
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Keywords | 霊長類 / 味覚 / 解毒 / 消化管内微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、霊長類がそれぞれの環境に適応した背景にある味覚・解毒機能の相関進化関係の解明を目指し、味覚受容体機能の多様性を調べて採食品目との関係を明らかにする<研究1>、消化管内微生物の解毒分解作用を明らかにする<研究2>という大きく二つに分けて研究を行っている。 <研究1>では、本年度よりマレーシア・サバ州でのサンプリングの調査許可が得られたため、同所的に生息する霊長類のサンプリングを行った。報告者がサンプリングを行う予定であったが、妊娠により渡航が難しくなったため、共同研究者の松田准教授が霊長類6種の糞試料を収集した。現在輸出許可の申請中で、報告者が復帰後これらの試料のDNA抽出および遺伝子解析を行う。また、国内の動物園で飼育されているコロブス類の糞試料も収集し、DNA抽出および味覚遺伝子受容体解析を行った。 <研究2>では、前年度に飼育テングザル前胃試料より単離した新種の可能性の高い乳酸菌について詳細な機能解析を行い、日本霊長類学会でその成果を発表した。またこの成果について、新種提唱に必要な一通りの遺伝的・菌学的解析を行い、学術論文を執筆し、国際誌に投稿した。また、この菌種を含めたコロブス類に共生する消化管内微生物がもつ解毒分解作用を明らかにするために、液体クロマトグラフィー質量分析装置(LCMSMS)による化学分析の実験系の検討も行った。青酸配糖体などの標準物質や、対象とする菌種を青酸配糖体を含む培地で培養した培養上清などを用いて実験系の検討を行った。予備実験を行うことができたため、復帰後、実際のサンプルを用いた本実験を行い、消化管内微生物がもつ解毒分解作用を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はテングザル前胃試料より単離した乳酸菌について、この菌種の特性や解毒機能についての分析を行い、それらの成果について日本霊長類学会での発表および、学術論文の投稿を行った。妊娠により海外渡航を行うことはできなかったが、今後行う予定の化学分析についての実験系の検討も行うことができ、復帰後に本実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度にサンプリングしたボルネオ島の野生霊長類の糞試料について、復帰後にDNA抽出および味覚受容体遺伝子解析を行い、苦味受容体機能解析を行う予定である。また、解毒作用の検討については、本年度に実験系の検討を行った液体クロマトグラフィー質量分析装置(LCMSMS)を用いた化学分析を復帰後に、実際の培養試料等を用いて本実験を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Host selection of haematophagous leeches (Haemadipsa japonica): implications for iDNA studies.2019
Author(s)
Hanya G, Morishima K, Koide T, Otani Y, Hongo S, Honda T, Okamura H, Higo Y, Hattori M, Kondo Y, Kurihara Y, Jin S, Otake A, Shiroisihi I, Takakuwa T, Yamamoto H, Suzuki H, Kajimura H, Hayakawa T, Suzuki-Hashido N, Nakano T.
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Journal Title
Ecological Research.
Volume: 34
Pages: 842-855
DOI
Peer Reviewed
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