2021 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類の採食適応背景にある味覚・解毒機能の相関進化関係の解明
Project/Area Number |
18J40006
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
橋戸 南美 中部大学, 創発学術院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2023-03-31
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Keywords | 霊長類 / 苦味受容体 / 解毒 / 乳酸菌 / コロブス / 青酸配糖体 / 消化管内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年 1月より 2021年度 3月まで出産育児による研究中断期間であったが、 2021年 4月から研究を再開した。 霊長類の採食適応背景にある味覚・解毒機能の相関進化関係の解明を目指し、霊長類の味覚受容体の機能解析、消化管に共生する微生物が示す解毒機能の解析を行っている。味覚受容体機能解析については、これまでに青酸配糖体アミグダリンを受容する苦味受容TAS2R16の機能解析を行っており、本年度は主に消化管微生物の解毒機能を調べる研究を行った。 研究中断前より行っていた飼育テングザルの前胃試料から分離したテングザル固有の新種乳酸菌Lactobacillus nasalidisに関する研究では、中断前に新種提唱論文を投稿し、中断期間中に修正・再投稿し、微生物専門の国際誌(IJSEMM誌)に受理された。コロナ禍による渡航制限のため本年度もボルネオ島での調査・サンプリングを行うことはできなかったが、2013年にサンプリングし凍結乾燥保存していた野生テングザルの前胃内容物を用いて、テングザル固有の新種乳酸菌の分離培養を試みた。野生個体からも新種乳酸菌の分離培養に成功したため、糖分解性、塩耐性などの生理生化学性状について、飼育個体由来株と比較した。 また飼育個体由来株との比較を行うためにL.nasalidisの野生個体由来株の全ゲノム解析を行った。今後、解毒に関わる酵素遺伝子の比較など詳細な解析を行う予定である。 消化管内微生物の解毒機能を調べるために、高速液体クロマトグラフィー質量分析装置(LC-MS/MS)を用いた化学分析お実験系の検討も行った。アミグダリンの分解産物を定量する実験系を確立できたため、今後は培養サンプルを用いて分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による渡航制限のため本年度もボルネオ島での調査・サンプリングを行うことはできなかった。しかしながら過去にサンプリングを行っていた野生個体の前胃内容物からテングザル固有の新種乳酸菌の分離培養に成功したため、飼育個体由来株との機能比較を行った。その成果について、第37回日本霊長類学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
テングザル固有の新種乳酸菌の野生個体由来株、飼育個体由来株との比較について、現在論文執筆を進めており、本年度中に投稿予定である。また、高速液体クロマトグラフィー質量分析装置(LC-MS/MS)を用いた化学分析の実験系を確立することができたため、今年度は乳酸菌や他の消化管内微生物を用いて培養したサンプルを用いた本実験を行う予定である。
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Research Products
(3 results)