2021 Fiscal Year Annual Research Report
バソプレシンニューロン細胞内塩化物イオンの高濃度維持機構とその生理学的意義の解明
Project/Area Number |
18J40103
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤(沼田) かお理 秋田大学, 医学系研究科, 助教
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Project Period (FY) |
2018-10-01 – 2022-03-31
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Keywords | カリウム-クロライド共輸送体 / ナトリウム-カリウム-クロライド-共輸送体 / バソプレシンニューロン / オキシトシンニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
AVP(バソプレシン)及びOXT(オキシトシン)ニューロンの細胞内Cl濃度の決定は、KCC2(K-Cl共輸送体)とNKCC1(Na-K-2Cl共輸送体)の活性バランスに起因する。Clを流入させるNKCC1の発現量が、AVPとOXTニューロンの間で同等であるものの、Clを流出させるKCC2の発現量がOXTニューロンに比べてAVPニューロンが低いため、細胞膜を介するClの差し引きからAVPニューロンの細胞内Cl濃度が高い事が知られている。 本年度は、AVPおよびOXTニューロンにおけるNKCC1の発現量について、リアルタイムPCR法を用いて検討した。その結果、NKCC1もKCC2と同様に両ニューロンで発現が確認されたが、OXTニューロンに比べてAVPニューロンにおける発現量が低い事が明らかになった。この結果は、これまでの報告と異なり、AVPニューロンにおける細胞内Clの細胞外への汲み入れもKCC2の発現と同様にOXTニューロンに比べて落ちている事を示唆した。 これらの結果と、昨年度に明らかにした、KCC2発現量がOXTニューロンに比べてAVPニューロンで著しく低下していたことを総合的に考察すると、AVPニューロンにおけるKCC2とNKCC1の遺伝子発現が共に低い事から、AVPニューロンにおける細胞内Cl濃度決定は、これら2つの発現量のみで決まるのではなく、他のClチャネル又はトランポーターも関与している可能性が示唆された。今後は、形質膜をClを透過させる他の膜たんぱく質の発現やKCC2とNKCC1の活性制御因子の探索について検討する必要がある。 また本年度は、形質膜をClを透過させる候補分子に関連した内容「2010年代に分子実体の一部が解明された、酸や低浸透圧で活性化する3種のClチャネル」を総説にまとめた。この論文は、Frontiers in Physiologyの国際雑誌に投稿し、受理された。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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