2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Anthropological Study of the Public Health and Nation State after the Civil War in Sri Lanka from the Case Study of Blood Donation.
Project/Area Number |
18J40154
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅村 絢美 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | スリランカ / 献血 / 布施 / 贈与 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、7月の第二子出産に伴い、6月1日から3月末日まで出産・育児にかかる研究中断をおこない、当初の研究計画で予定していた国外の学会での発表や現地調査を行うことができなかった。しかしながら、研究中断期間中も、研究再開準備支援を受けながら研究を続け、前年度に行ったスリランカ調査で得られたデータをもとに主に文献調査を行いながら、以下の4項目が明らかとなった。 ①スリランカ北部における戦後復興とシンハラ仏教徒たちによるジャフナ献血:1983年~2009年のスリランカ内戦で戦地となった北部地域において、内戦終結後、増えているシンハラ仏教徒が大規模な献血ツアーについて検討した。 ②「ヒンドゥー教徒は献血に消極的?」という政治言説:スリランカの輸血用血液製剤の需要を満たす献血のほとんどがシンハラ人による献血によって支えられている他方、シンハラ仏教徒の間で一般化しているイスラーム教徒やヒンドゥー教徒が献血に消極的であるという言説について検討した。 ③民族の「純粋な血」をめぐる政治言説:北部地域における献血ツアーにより、北部に多く居住するタミル人にシンハラ人の血液が輸血されていると主張する政治家の発言をめぐる問題について検討した。 ④2019年4月のイースター・テロ時の献血とその後の政治動向:イースター・テロの直後に多くの人々が献血を行うという行動に出た他方、国家情勢は治安の安定を積極的に推し進める政権の台頭へと変容している。この状況について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、7月の第二子出産に伴い、6月1日から3月末日まで出産・育児にかかる研究中断をおこない、研究計画で夏に予定していた国外の学会での発表や現地調査を2~3月に変更することとなったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で海外渡航が困難となり、断念せざるを得なくなってしまった。次年度は、今後の感染状況をみながら、できる限り研究計画で予定していた研究項目を遂行していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新型コロナウイルスの感染拡大状況を注意深く鑑みながら、折をみて研究計画で予定していたスリランカ調査や海外での学会発表を行う予定である。海外渡航の実施が現実的になるまでの間は、論文の執筆を通じて、国内外の学会で研究発表を進める予定である。
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