2019 Fiscal Year Annual Research Report
肝発ガンを伴う非アルコール性脂肪性肝炎の発症メカニズムの解明と新規治療法の確立
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18J40228
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
近田 裕美 東海大学, 医学部 基礎医学系 分子生命科学, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | NASH / 肝発ガン / 性差 / Bcl6 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に、肝脂質蓄積、肝炎症、肝線維化、肝腫瘍化までの発症過程および病態発症の性差を再現した非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)由来肝発ガンモデル系を構築した。このモデル系において、肝臓特異的Bcl6欠損(Bcl6 LKO)マウスを用いた解析により、NASH発症におけるBcl6の関与を明らかにした。 本年度は、肝臓におけるBcl6の分子機能をマウス個体レベルで検証するために、アデノ随伴ウィルス(AAV)によるin vivo肝臓特異的過剰発現系を構築した。まず、Bcl6-LKOマウスにCholine-deficient, L-amino-acid-defined, high-fat diet (CDAHFD)の給餌により、NASHを誘導する条件において、AAVによりBcl6を過剰発現させた。コントロールのAAV感染条件では、遺伝子導入がなされないために肝傷害の指標であるGPT値は野生型に比べてBcl6-LKOマウスでは低いという今までと同様の結果が得られた。一方でAAVによるBcl6の過剰発現条件下ではBcl6-LKOマウスにおいてコントロールAAV感染マウスよりもGPT値は高値を示し、Bcl6の発現量と肝傷害との関連が示唆された。 そこで、通常食条件下の野生型オスマウスにコントロールAAVとBcl6-AAVを感染させ、Bcl6の肝臓への影響を検証した。この結果、コントロールAAVマウスでは通常食条件下のGPT値は10 IU/L前後の低値であったが、AAV-Bcl6感染マウスでは通常食条件下にも関わらず、GPT値が病態を示すほどの500 IU/L前後の高値を示した(N=4)。さらに、通常食条件下では肝細胞はほとんど脂肪滴の蓄積を認めないのに対して、Bcl6過剰発現により肝細胞に脂肪滴が検出され、Bcl6の過剰発現により脂肪肝が誘導されていることが示唆された。これらのことから、Bcl6が直接的には肝脂質蓄積や肝傷害に関与する下流シグナルを活性化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AAVによる個体レベルでの遺伝子過剰発現系を構築し、個体におけるBcl6の直接的な作用(肝傷害や肝脂質蓄積)を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
AAVによる過剰発現系を用いて、Bcl6の下流シグナルを探索する。これまでに、Bcl6-LKOマウス肝臓の網羅的な遺伝子発現解析から、Bcl6により発現制御を受ける遺伝子群を抽出している。これらの遺伝子群について、AAVによる過剰発現を検討し、Bcl6が制御するNASH病態に関与する分子群を同定する予定である。また、Bcl6またはその下流シグナルが直接的に肝脂質蓄積に関与することが明らかとなったため、Bcl6が脂質の合成、分解、輸送のいずれの経路を制御しているのか明らかにする。
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