2018 Fiscal Year Annual Research Report
性染色体と性染色体のように挙動する菌を用いた新規なフロリゲン機能解析
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18J40290
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
藤田 尚子 横浜市立大学, 木原生物学研究所 植物遺伝資源研究室, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ヒロハノマンテマ / 性 / 黒穂菌 / 性染色体 / 花成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナデシコ科植物ヒロハノマンテマはXY性染色体をもつ雌雄異株植物であり、Y性染色体上には雄花と雌花の形態的性差を制御する2つの因子(めしべ抑制・おしべ促進)が存在すると考えられている。また興味深いことに、黒穂菌という菌がヒロハノマンテマの雌花(XX)に感染すると、まるで黒穂菌がY性染色体のように挙動しておしべを誘導する。このようにY性染色体あるいはY染色体のように挙動する黒穂菌は「性」のマスタースイッチとして機能する。 本研究では、生殖生長の開始点である「花成」と「性染色体」の関係に着目している。雌雄異株植物の多くは花成タイミングに雌雄差があり、ヒロハノマンテマでもその傾向がみられていた。そこで本年度はヒロハノマンテマの開花時期の雌雄差を調べるため、同じ人工気象器内で播種から第一花の開花まで要した日数を計測した。その結果、オス 78.8±7.8日、メス 68.1±1.7日であったことから、ヒロハノマンテマの花成タイミングには雌雄差があることがわかった。さらに、黒穂菌感染した植物でも調べると、感染オスでは74.6±3.2日、感染メスでは75.4±1.7日となり、雌雄ともに開花日数に変化がみられた。開花日数とそれを制御し得る遺伝子発現の相関を調べるため、花成開始因子フロリゲンをコードするFT遺伝子の発現量の関係を調べたところ、相関は認められなかった。 そこで「花成」と「性染色体」の関係を分子レベルで明らかにするため、mRNA-seq解析によりY染色体あるいは黒穂菌存在下における遺伝子ネットワークを調べている。本年度は、花芽メリステムからのRNA抽出方法を検討した。実体顕微鏡下で約500メリステムを解剖・単離し、オス・メス・感染オス・感染メスの花芽形成初期・中期(8条件x2反復、合計16条件)のmRNA-seq解析用RNAを抽出し、mRNA-seq解析準備を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
雌雄異株植物ヒロハノマンテマにおいても開花時期に雌雄差があることがわかった。これを分子レベルで解析するため、本年度はmRNA-seq解析準備を行った。本研究解題は順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
mRNA-seq解析により「花成」と「性染色体」の遺伝子ネットワークを解明する。
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Research Products
(1 results)