2023 Fiscal Year Annual Research Report
An international dialectical study in Plato's basic conception of the soul
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18K00004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荻原 理 東北大学, 文学研究科, 教授 (00344630)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラトン / 魂論 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラトンによる魂の原的把握は以下のようなものであることが本研究を通じて明らかになった。ひとの魂とは、一方で、ひとの自己であり、したがって、内側から言えば意識であり、そのもののありようとして徳・悪徳、知・不知をもつ(その意味で存在と関わる)だが、このことに劣らず重要であるのは、魂は善に向かう、あるいは善から逸れる動きにおいてあり、さらには、それ自身が動きであるということだ。 魂のこうした把握は、本研究の諸実績が示した以下の諸点から浮かび上がってくる。教育の完成のためには、魂の目の下降傾向に反する向きに向ける強制が必要であること(講演'Education-related compulsion in Plato’s REPUBLIC')。魂の価値体験は、世界における価値の把握と捉えるべきこと(『マクダウェルの倫理学』)。魂は本性上、自らに生命をもたらし続け、それがやむはずはないこと('Immortality and Eternity: Cebes’ Remark at Phaedo 106d2-4' in PLATO'S PHAEDO [2018])。魂と身体の関係はさまざまな場面で問題になりうるが、いずれの場面でも、魂の身体からの独立性を示すという基本的モチーフが認められること(Plato's PHILEBUS [2019]への寄稿)。魂の分裂の深刻さはいわゆる倫理の次元に収まらないこと(「『信の哲学』における信の根源性をめぐって」)。自己欺瞞的なありかたは、意識される結果をもたらすこと(2021年度より最終年度にかけて発表・展開した'The 'suspicion and fear' of the sophist: Plato's SOPHIST 267e8-268a10')。ひとの理性(魂に宿る)は宇宙と支配する理性の原因性を不完全に模倣することである(最終年度に発表した'Vague and non-straightforward for reasons: the argument in Plato's PHILEBUS 28c6-31a4')。
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