2021 Fiscal Year Annual Research Report
Socio-ethical approaches to justice and peace: with special reference to "an ethic of care"
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18K00020
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| Research Institution | International Christian University |
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Principal Investigator |
川本 隆史 国際基督教大学, 教養学部, 特任教授 (40137758)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 正義 / 平和 / 社会倫理学 / 脱集計化 / 脱中心化 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、①ロールズの『正義論』を嚆矢とする現代の社会正義論および②ギリガンの『もうひとつの声』が打ち出した「ケアの倫理」をめぐる論争の追跡調査とに基づいて、正義とケアを兼備する社会のあり方を探り当てようと努めてきた。他方、被爆都市・広島で受けた「平和教育」に強く動機づけられた研究代表者は、平和学および平和運動に対する参与観察もたゆまず続けてきている。
本研究はそうした積年の蓄積をベースとして、正義と平和への社会倫理学的アプローチの練磨を企図するものである。正義論と平和学とを別個の領域と見なして、両者の重なりやずれ具合を外側から測定するといった没主体的なスタンスを採らず、ケアの倫理との《編み合わせ》を基軸に据えた、内側からの方法論的探究を主眼とする。ここでの《編み合わせ》とは、正義とケアの統合・補完を無媒介かつ機械的に行うのではなく、二つの概念が名詞として固まる手前の語法にまで立ち戻って、両者をほぐし・つなげようとする試行の謂いにほかならない。
最終年度は、コロナ禍が続くなか出張を極力控えざるを得なかったものの、数次にわたる広島での現地調査を遂行し、被爆当事者および二世との交流を深めるとともに、広島YWCAの平和学習サークル「カンナの会」への積極的関与を実現し得た。この会を通じて『なぜ原爆が悪ではないのか：アメリカの核意識』の著者・宮本ゆき氏との連携がスタートしたのである。
さらにロールズ第二の主著『政治的リベラリズム』邦訳(2022年1月)の解説を執筆し、著者とヒロシマとの関りに注目を促す論考「ロールズ・ヒロシマ・キルケゴール」を『思想』2022年3月号の巻頭に寄せた。両者が4年間の掉尾を飾る成果となったものと総括している。
なお本プロジェクトの深化・発展をねらって申請した研究課題「記憶のケアの社会倫理学」が、幸いにも科研(C)に採択された――そのことを付記しておく。
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