2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K00023
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
松根 伸治 南山大学, 人文学部, 教授 (90432781)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 七つの罪源 / トマス・アクィナス / 『悪について』 / ガンのヘンリクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、七つの罪源の枠組みに着目して、中世の神学・哲学著作における罪と悪徳の理論を哲学史的に解明することである。2018年度の研究実績は以下の通りである。(1)様々な哲学者による議論の概要を知り、彼らの思想の背景をなす当時の社会状況を理解するための文献・論文の収集を順調に進めることができた。(2)トマス・アクィナス、定期討論集『悪について』第11問(倦怠 de accidia)の翻訳を公表する計画を立てていたが、訳稿はほぼ完成したものの、細部を検討中のため刊行にはいたらなかった。(3)徳と意志に関する13世紀末の議論について研究を進め、ガンのヘンリクスをあつかった論文を刊行することができた。これらの論文を執筆するための研究は、罪や悪徳の理論をより正確に理解するために徳理論の解明が不可欠であるという点から有意義であったと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究主題に関わる二本の論文を刊行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
トマス・アクィナス『悪について』第11問(倦怠)の翻訳について、2019年度内に公表できるよう研究を進める。さらに、「強欲」(avaritia)に関する議論について、L. K. Little, Religious poverty and the profit economy in medieval Europe, Ithaca, Cornell UP, 1983; R. Newhauser, The early history of greed: The sin of avarice in early medieval thought and literature, Cambridge UP, 2000などの重要な文献を参照して研究を進める。
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Causes of Carryover |
注文していた書籍の一部が年度中に入荷されなかったため。
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