2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the Possibility of Responsibility Ascription to AI Traders
Project/Area Number |
18K00027
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
増渕 隆史 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (60528248)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工知能の説明責任 / AIの倫理 / 金融倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、2022年12月10日に開催された北海道哲学会・北海道大学哲学会共催研究発表大会において、「金融AIを用いた投資判断において説明責任は可能か」という題目の研究発表を行った。 本発表は、金融分野ではAIを利用した金融商品の開発が進んでおり、実際に販売も行われているが、これらの商品に対しては、AIが自動的に投資判断基準を設定するため、投資判断基準がブラックボックス化するという問題をテーマにしたものである。本発表ではAI利用の問題点に関する日本銀行金融研究所から報告書をもとに、「説明」ないし「説明責任」に関する哲学・社会心理学等の先行研究から、アルゴリズム・AIを利用した金融取引の説明責任について、どのような責任を負うべきかを考察し、現状の技術水準で説明責任を果たすことか可能かどうかを論じた。 本発表における研究成果は、第一に、現在のアルゴリズム・AIを利用した金融取引における説明責任の対応が主に法的・経済的観点からなされているため限界があり、正義や公正といった哲学・倫理学的な視座からの対応の検討が必要であることを明らかにした点である。第二の研究成果は、アルゴリズム・AIを利用した金融取引における説明責任を果たすためには、AIにおける投資判断を説明できる技術的対応が不可欠であることを示したことである。 研究期間全体の成果は、2021年7月25日開催の「北海道哲学会シンポジウム『AIの倫理学─その問題圏の検討』」において、「AI技術者が説明について社会科学から学ぶこと」という題目で発表した、AI技術者は社会心理学や哲学における説明責任の学問的成果から、これらの観点を取り込んだ説明可能なAI開発を行っているというサーベイ研究と合わせ、AIにおける説明責任問題の解決には、情報工学と人文科学の学知を統合した技術開発が不可欠であることを明らかにしたことである。
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Research Products
(1 results)